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千年ジュリエット  (ねこ3.7匹)

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初野晴著。角川文庫。

 

 清水南高校、文化祭間近、晴れの舞台を前に、吹奏楽部の元気少女・穂村チカと、残念系美少年の上条ハルタも、練習に力が入る。そんな中、チカとハルタの憧れのひと、草壁先生に女性の来客が。奇抜な恰好だが音楽センスは抜群な彼女と、先生が共有する謎とは?(「エデンの谷」)ほか、文化祭で巻き起こる、笑って泣ける事件の数々。頭脳派ハルタと行動派チカは謎を解けるのか?青春ミステリの必読書、“ハルチカ”シリーズ第4弾! (裏表紙引用)

 


ハルチカシリーズ第4弾、安定の面白さ。今回も連作方式の、4編収録の短編集。

 

「エデンの谷」
スナフキンと呼ばれる、鍵盤ハーモニカ奏者がチカたちの前に新登場。草壁先生と繋がりがあるようでチカとハルタは悶々。しかも音楽の英才教育を受けて育った彼女の家系には秘密があって。。。スナフキンさんの風貌とキャラクターにインパクトがありすぎて、謎自体はあまり面白くなかった。が、最後に明かされた、スナフキンの祖父からのメッセージには感動・・・じゃなかった、脱力(笑)。凄いことするね。

 

「失踪ヘビーロッカー」
語り手はタクシー運転手。物凄いビジュアルだが礼儀正しい少年を客として乗せたはいいが、目的地である清水南高校に着く直前、人が変わったようにUターンを指示されて。。。いやあ、謎もぶっ飛んでるけど、運転手かわいそうすぎた(笑)。車内で奇行を繰り返す少年の破壊力が凄い。。このお話がベストだったかな。

 

「決闘戯曲」
演劇部がトラブルにより上演することになったお芝居、その謎はいかに。ミステリ的には奇想というか島田荘司レベルの真相が待っていて驚愕するのだけれど、自分があまり時代ものを好まないため乗れず。

 

「千年ジュリエット」
同じ病気の女性たちだけで立ち上げた、恋愛相談サイト――。語り手の女性には大きな秘密があった。なんというか、全キャラクターを無理矢理登場させた感が(笑)。朝霧とか忘れていたわ(笑)。かなり悲しいお話で、微笑ましいだけではない。そして、ミステリ的な大仕掛けも二つ。少しズルいかな、と思うところもあるが、人生や若さを称賛し、さよならさえも前向きに捉えることのできるまっすぐさ――それはこういう立場の人間ならではなのだろうけども――それが伝わってくる良い作品だったと思う。


以上。
いやあ、草壁先生ほとんど出ないね(;_;)ハルタとチカも、後半に進むにつれて存在が薄くなって来ちゃったし。よくある学園ものと思いきや、男子生徒が男性教諭を好きだなんて、もっといじればもっと味が濃くなって良いと思うのだけれど。面白いからまあいいか。