すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

死ねばいいのに  (ねこ4匹)

イメージ 1

 

死んだ女のことを教えてくれないか――。
無礼な男が突然現れ、私に尋ねる。私は一体、彼女の何を知っていたというのだろう。問いかけられた言葉に、暴かれる嘘、晒け出される業、浮かび上がる剝き出しの真実……。人は何のために生きるのか。 
この世に不思議なことなど何もない。
ただ一つあるとすれば、それは――

 


夫がこの本を両手で持ち、ガタガタプルプル震えていたがスルー。違う違う、びびるな。


と、いうわけでこういう借りるだけで気が引けるようなタイトルのこわい本。京極さんだから、てっきり怪談系かと思って読み始めたら、全然違った。こわいのはこわいが、人間としての心の怖さとかそういう系。文章も現代的。どころか、主人公の青年の言葉使いが「~っすよ」「なんすよね」ばかりでイライラが募るぐらい。つまりどういう内容かというと、目次は「一人目」「二人目」という風に、主人公が会う人間ごとに章ごとに分かれているかたち。なんか、「いちま~いにま~~~いいちまいたりなぁ~~~い」みたいでコワイヨ(^^;)。。。

 

アサミという女性が自宅マンションで殺されて、どうやらアサミと関係があるらしい青年(ケンヤ)が、アサミと深い関係にあった人物に一人一人会いに行き、アサミとはどういう人間だったのかなどを聞いて回るという物語。ケンヤは無職で無学だと自分で自分を卑下している人間でどう見ても信用出来ない風貌なので、最初は関係者にけんもほろろに対応される。けれど、問答していくうちに、あれ?なんだかこいつおかしいぞ?と思うようになり、最後にはケンヤに正論を吐かれ説教され、あげく「死ねばいいのに」と言われぎゃふん。というパターン。

 

凄く簡単にまとめると、皆が皆、「自分が自分が」ばかりで、不幸を人のせいにしたり人を中傷したり、
結局肩書きとか年齢とか収入とか関係なく、みんな一緒じゃん?ということがわかる。普通の父親だったり、普通のOLだったり、普通の刑事?だったり、あ、普通じゃないヤクザもいたけど、これって、ケンヤのような人物が言うから効果があるんだなあと思ったり。パターンは数回続くのだけれど、最終章の手前で意外な事実がわかり、物語にも動きが。色んな立場の人が出てくるので、読者にも結構耳に痛い言葉とかもあるかもね。