すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

白ゆき姫殺人事件  (ねこ3.7匹)

イメージ 1

湊かなえ著。集英社文庫


化粧品会社の美人社員が黒こげの遺体で発見された。ひょんなことから事件の糸口を掴んだ週刊誌のフリー記者、赤星は独自に調査を始める。人人への聞き込みの結果、浮かび上がってきたのは行方不明になった被害者の同僚。ネット上では憶測が飛び交い、週刊誌報道は過熱する一方。匿名という名の皮をかぶった悪意と集団心理。噂話の矛先は一体誰に刃を向けるのか。傑作長編ミステリー。(裏表紙引用)



うん、安定の面白さだな。
湊さんお得意の、事件関係者たちの独白のみで構成された作品。女はイヤらしくて男はズルくて、という最早イヤミスの典型的と言ってもいい、勝手で自己中心でミーハーな人々の心理ばかりが描かれている。まほかるに慣れているとこれぐらいでは大した刺激にはならないが、逆にこれぐらいでないと突き抜けては売れないのかな。

割と題材よりも細かい部分のほうが面白くて、例えばケーキの上に載っている果物だけ勝手に食べられているとか、自転車のブレーキが利かなかったのは呪いじゃなくて故意だとか、そのあたりが生理的にゾワっとする感じで盛り上がるかも。容疑者の城野さんはかなりヒドイ評価をされているけれど、しかしまあ、特に女性、うっれしそうに記者に話すね。二月生まれだからこの人パス、とかそういうレベルの会話をする人に他人の批評されたくないんだけど^^;娘の自慢話だけが生きがいの女性や、昔は綺麗だったのにすっかりニートになってしまった子や、なんだかあまり普通の人が出てこない。郵便受けに、料理入ったタッパーそのまま入れるかね^^;


ミステリーとしては、「誰が犯人」に重きを置いたらたいした作品ではないと思うが、最後の100ページ分くらいに雑誌記事や新聞記事、ツイッターとおぼしきサイトの会話が載せられていて面白い。HNを登場人物と照らし合わせて読むといいんだろうな。新聞以外は作中に挟んだ方が効果的だったとは思うが、読中パラっとしてみたら、この後早く読み終わりそう、とちょっと嬉しいかもしれない・・・ぐらいの喜びしか思いつかなかった。この意図はいかに。