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オレたちバブル入行組  (ねこ3.8匹)

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池井戸潤著。文春文庫。

大手銀行にバブル期に入行して、今は大阪西支店融資課長の半沢。支店長命令で無理に融資の承認を取り付けた会社が倒産した。すべての責任を押しつけようと暗躍する支店長。四面楚歌の半沢には債権回収しかない。夢多かりし新人時代は去り、気がつけば辛い中間管理職。そんな世代へエールを送る痛快エンタメ。(裏表紙引用)


やっと読めた。大人気ドラマ半沢直樹の原作本第一弾。池井戸さんの小説は好きなほうで、まあ数読んでいるほうだとは思うし銀行小説を避けてきたわけでもないのになぜか未読、しかもドラマ未見。ドラマが話題になった時に「しまった」と思ったものの、私の性格上第一話からしか見たくないので再放送を待つというすっぱい状況になっていることをお許しいただきたい。


内容は、ドラマ未見の私でも少しは想像していた上司や企業への復讐ものそのもの。さぞや悪徳代官のような上司や出世欲の塊のような同期がわんさか出てくるのだろうと思ったらまさにその通りで、特に半沢の直属の上司浅野や倒産した会社社長東田のずる賢っぷり、責任転嫁ぶりには怖気が立つほど。それはもうただの卑怯者かと思いきやその上を行くキモさで、どこまで部下・半沢を人間扱いしていないかが見て取れる。

しかし聞いていた通りの勧善懲悪そのものの展開が待っており、わたくし読者は最後にスカっと・・・する予定だったのだが、残念ながら自分にはその”倍返し”の手段が肌に合わなかった。そこまでしなくても・・・と思ったのが正直なところ。浅野の家族が出てきたことが大きいのは自覚している。自分はやはりどこか人情に弱いのか、はたまた甘いのか。今の自分にストレスらしいストレスがあれば少しは共感したのかもしれないが。。。しかしドラマは見るつもり。堺雅人の違う一面も見たいし、きっと妻の花もここまで乾燥した人物ではない、だろう、との期待も込めて。何の繋がりもないが、気に入って観ている朝ドラ「ごちそうさん」が、義姉のイジメが出てきてから観るのがつらくなってきた。多分自分がそういう時期なんだろう。この小説そのものはとても面白いし池井戸さんは相変わらず好きです。ねんのため。