すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

9月の読了本

「モンスター」百田尚樹著 (ねこ3.8匹)

 
  「海賊と呼ばれた男」でなにかと今話題の作家さん。本屋でほとんどの著作が平積みにされております。その中から少し自分向きそうなものを1冊。勝手に硬筆そうな印象を持っていたけれど、拍子抜けするぐらい読みやすい。もう少し難しくてもいいよ、と勝手なことを思いつつ。生まれつき醜い外見に生まれた女性が整形手術により外見と人生を変えていくお話。外見を美しくすることによる精神の変化は大きかったものの、それが精神の成長には結びつかなかったことが最大の不幸だと思う。



「ずっとお城で暮らしてる」シャーリイ・ジャクスン著(ねこ3.9匹)

  ある過去によりお城に閉じこもって暮らしている姉妹のお話。語り手は妹だが、どうやら姉のほうになんらかの事情があるらしく、世間の誹謗中傷が凄い。ダークファンタジーの走りなのかどうかは不明だが、大人向けのおとぎ話という印象。語り口は平易なので、白雪姫やシンデレラのように小道具のモチーフやキャラ立ちがないだけの違いかもと。好みで言うとど真ん中。


県庁おもてなし課有川浩著(ねこ4匹)

  有川作品のファンだが、久しぶりのどストライク作品に当たった。お役所仕事と庶民の視点の違いを学んでいく主人公に教授していく大人たちは厳しくも温かい。高知県には行ったことはないけれど、おもてなし課の企画が実現しているとうれしい。ラブの要素も健在。リアルな若者同士の照れ「恋」と、さまざまな経験を経て辿り着いた大人の「愛」の違いがどちらも好感度大大。言葉にしない愛を描くほうが難しそうだけど、きめるところはきめれば浮いた言葉にならないのだなーなんて。