すべてが猫になる

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明日の空  (ねこ3.8匹)

貫井徳郎著。集英社

10年ぶりの書き下ろし!ミステリ長編

日本で新たに高校生活を始めた帰国子女の栄美(エイミー)。淡いときめきも別れの痛みも、いつかは青春の思い出になるはずだった。だが後に知ったのは・・・貫井徳郎が青春小説に仕掛けた「驚き」とは!?(あらすじ引用)


あああ。おおお。うおお。だ、騙された。。。ふっふっふ、気持ちがいいぜ。


本書は貫井さんにしてはうす~い長編かも。読みやすいしあっと言う間に読める。

帰国子女の栄美が恋したクラスメートの飛鳥部くんとのデート。そこに必ず入る悪意ある邪魔の目的は何か?それが解明されないまま、物語は語り手を変え第二章へと移る。流れからして飛鳥部の未来かなあと思いながら読み進める。第一章となーんの関係もないとは思えないし、でもなんの関係もない。主人公の青年はアメリカに強い憧れを持っており、六本木で外国人相手にちょっとした道案内をして日銭を稼ぐ日々。そこで知り合ったアンディという黒人の青年。彼らは意気投合し、どんな時でもつるむようになるのだが。。というお話。アンディが時折不審な行動を取る以外にはこれといって不穏なものはなく、友情と青春の物語かと錯覚しそうになるほど。それにしても、ホントに栄美のお話と繋がらない。貫井作品だから繋がるはずだとわかっちゃいるのだけど、ここまで関連性に乏しいと繋がったときに強引さとか不自然さとか感じてしまわないか?と読みながら上から目線。

そして差別に苦しむアンディはその後・・・という意味深な引きを見せて第三章へ。

な、な、な、なるほど!!Σ(-□-;

伏線は第一章のほうだったんだな。。ある謎の人物については、主人公が帰国子女ってところがミソでありそうしなければ成立しなかった心理だ。最近貫井さん外国づいてるね~ふんふん♪なんて考えてるバヤイじゃなかった。人は傷付くと人に優しくなるというけれど、あの人の奇跡なまでの優しさが今まで受けてきた悲しみの深さを表しているのだとしたら悲しいこと。そして最後にホロリ。そこで初めて気づいた、自分、アンディが好きだったな。。自分のこの気持ちが映像じゃなかったから、でないことを祈る。難しいと思うのよ、実際。