すべてが猫になる

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黄金を抱いて翔べ  (ねこ3匹)

高村薫著。新潮文庫

銀行本店の地下深く眠る6トンの金塊を奪取せよ!大阪の街でしたたかに生きる6人の男たちが企んだ、大胆不敵な金塊強奪計画。ハイテクを駆使した鉄壁の防御システムは、果して突破可能か?変電所が炎に包まれ、制御室は爆破され、世紀の奪取作戦の火蓋が切られた。日本推理サスペンス大賞受賞、圧倒的な迫力と正確無比なディティルで絶賛を浴びた、著者のデビュー作!(裏表紙引用)


すべ猫初登場、高村薫さん。私が今より10舛老擇った遠い遠い昔、「マークスの山」に挑戦しては挫折しこれではいけないと再挑戦しては挫折し上下買ったんだからもったいないと再々挑戦しては挫折した暗い過去がある。今回の読了については軽い理由がある。東方神起の大ファンである私の親友S子が電車の停電により待ち合わせに遅刻し、「カフェで待ってるよー」と返事しつつも本を持って来てないことに気づいたわたくしがS子を喜ばせようと本屋に駆け込み買ってしまったのがこの本というわけ。(説明長い)「???」な方はこの作品の映画のキャストをご覧くだされ。(S子はもう1人の方のファンなのだがね)


そんなことはさておき、デビュー作とは知らなんだ。あらすじを書いて今知った。いくらなんでももう少し読みやすかったよなあさすがに、と思ったはずだ。「正確無比なディティルで絶賛」とあるが、それは的確な評価であろうな。50ページ読むのに1時間以上かかってたもん、私。そういうわけで爆弾の材料とか地理関係の描写がまったく頭に入って来ない。自分になじみのある土地ばかりが出てくるにも関わらずだ。この作者のやっかいなところは、読みづらいがつまらないわけではないというところだ。映画を観ていない私でもキャラ分けはしっかり出来ていたし、彼らの思想(宗教がかってたところはいささか頭を抱えたものの)も過去も人格も共感という意味以外での理解は可能だった。もう今更犯罪小説はどうのこうのと言うつもりはないし、犯罪を奨励していると思う前に、物語だからと夢だからと楽観する前に、自分の頭の堅さを呪ったほうがいい。暴力、強奪、それ以外に生き方を見つけられない男と女の不器用さが、悲しさが、自分の人生の何かと絡み合ってはいないか。

と、まあ、あくせくしながら読んだので内容の紹介になっていないのをごまかした状態で投稿しようとしているわたくし。うーん、でも、正直に告白するがやはり文章が自分向きではない。他人と比べるのは最低かもしれんがこれを奥田英朗が書いていたらなあ、と思った自分が常にいた。