すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

夜の欧羅巴  (ねこ3.7匹)

 

宮島レイ、12歳。母親は有名な吸血鬼画家、ミラルカ。ふたりきりの生活だけれど、仲良く幸せに暮らしていた。ところが、ミラルカは彼の前から忽然と姿を消してしまった…。そんなある日、3人の刑事が彼女の消息を尋ねにやってくる。とある殺人現場に、彼女の絵の切れ端が落ちていたという。なんと、国際的な陰謀に捲きこまれたかも知れない!母さんはヨーロッパに?助け出せるのはぼくだけだ!ところが、レイに残されたのは、たった一冊の幻の画集。鍵を握るのは、不思議な少女。異国への旅に踏み切るレイを、追ってくるのは国際警察?それとも闇の異形たち?妖しくも美しい国から国へ、スリルとホラーとサスペンスの冒険がはじまる…。(あらすじ引用)


いや~、ミステリーランド(読むの)久しぶりだな~~~。
井上雅彦さんの作品は1冊しか読んでいないと思うのだけど、なかなか好みだったと記憶している。ていうか、本書と同時に我孫子武丸さんも出しているのよね。で、タイトルだけ両方覚えて図書館行ったから、(コッチしかなかった)この本半分ぐらい読んでいる段階で「我孫子さんのほう」だと思い込んでいたという^^;で、読みながら「え~っ、いや~、我孫子さん結構やるじゃ~~ん^^」と思っていたわけ(どういう意味だ)。ハッ!違う!と気付いた時の驚愕。しかも、読後某お友達のところで「”あ”の作家」で延々本書のタイトルを探していた時はさすがに自分にビックリしたわ。。←ブログ読者は今お前にビックリしている。


で、(話をそらす)感想。
吸血鬼を題材にした冒険活劇ということで、結構ワクワクドキドキ!登場人物(っていうか登場妖怪?)が多すぎて混乱したところもあるけれど、芸術品のような上質本の存在と、商店街がヨーロッパに繋がっているというファンタジー世界は夢があってとてもいいと思う!ちょっとこわもての捜査官が登場したり、レイの2人の伯母さんたちが脇役ながらキャラが立っていたりと、細かいところまで神経が行き届いていて嬉しい。イラストがちょい怖めなのが難かな。悪い意味じゃなくて。ストーリーも謎めいているのがいいね。描いてあることが描いてあるままだなんてつまらないじゃない?これは「あれ?この人たちちょっと変だな」とかそういう不思議さが常に付きまとっているのよね。


ちょっとムリヤリ気になった点を挙げるとすれば、レイが最初から強い子供って印象があるとこ。最初は気が弱かったり勇気がなかったり、そういう子が色々困難を乗り越えて、、って方が自分は好きかな。あと、母親の存在はかなり重要なのに、最後まで印象が薄く感じたなあ。最初凄いインパクトだったんだけど。出オチとまでは言わないけど。あと、続篇ありきな終わり方に近いかな。


ま、ともかく、私は結構面白かった。子供にももちろん良いと思うし、大人が読むにも適していると思う。我孫子さんのも吸血鬼ものだそうね。そっちはどうかな^^