すべてが猫になる

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メルカトルかく語りき  (ねこ3.8匹)

麻耶雄嵩著。講談社ノベルス

ある高校で殺人事件が発生。被害者は物理教師、硬貨ガラスで頭部を5度強打され、死因は脳挫傷だった。現場は鍵がかかったままの密室状態の理科室で、容疑者とされた生徒はなんと20人!銘探偵メルカトルが導き出した意外すぎる犯人とは――「答えのない絵本」他、全5編収録。麻耶ワールド全開の問題作!!(裏表紙引用)


げふっ。。。。。。

5編でもうお腹いっぱい。。。


最近の麻耶さんは次々と作品を出していて嬉しい限りなんだけども。ここ数ヶ月1冊も本を買っていないわたくしが久々に買った唯一の本がコレ。何かが間違っている^^;;
しかも溺愛するメルシリーズじゃありませんか。しかもワトスン役はファンに人気にも関わらず「メルカトルと美袋のための殺人」以来とんと顔を見せなかった美袋じゃありませんか。やったねわーい、とウキウキ本を広げるわたくし。


いやあ、久しぶりにひどい。。。。(笑)。

ただでさえメルはひどいのに、ここに美袋がくっつくとメルの極悪非道さマックス。日本一不快な探偵と称されたあの頃よりひどくなっている^^;これがもうたまらんね。特に美袋との漫才コンビのような掛け合いは懐かしくて涙が出そうになるし。メルも「ファイト一発」ネタをそこまで嫌わんでも^^;九州全土を買い取った夢を見る美袋も同レベルだが。ああいいコンビだ。

作品はもう出来云々よりもコンセプト。つまり推理はするけど解決しないメタ作品揃い。モヤっとするわあ^^;メタって言ったけど、しかもこれ私個人の解釈だけど、あのメルと別人と判断しても構わないのかな?ある事象が、これがあのメルなら時系列的に「ありえない」んだけど。そこがやたら気になった。「翼ある闇」を読んでいる人ならおかしな点に気付くと思う。

基本的にこの作品を手に取る読者というのは麻耶ファンか生粋のミステリファンだけだろうからってのを踏まえて、こんな作品なのに概ね好意的に受け入れられているのが喜ばしい限り。まあ、でもね、私が思うに、麻耶さんは「既存のミステリ作品の常道に対するアンチテーゼを。。」なんていう古くさいことを今さらやったつもりはないと思う。この人にかかったらアイデアの1つでしかないんじゃないかな。