すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

幸運の25セント硬貨/Everything's Eventual II  (ねこ3.4匹)

スティーヴン・キング著。新潮文庫

ベッドの枕に置かれた封筒。中には祝福の手紙(「きみはついてるな!」)と25セント硬貨。チップとも呼べない少額すぎるそのコインが、ホテルのメイドにもたらした幸運とは……市井の普通の人間に訪れた特別な瞬間を、名人芸の手業で描いた標題作ほか、天才キングが十年をかけて、瞬間瞬間の全精力を傾注して彫琢した傑作揃い、意外な結末ばかりの全七篇。全篇キング自身の解説つき。(裏表紙引用)


これシリーズの二冊目だったのか。まあいいや。
このあたりのキングはいまいちというか、無難というか。それほど読むのに苦戦はしないけれどコレって作品はなかったなー。なんか安定してるんだよなー。

「なにもかもが究極的」
  ある大きな仕事を請け負った少年(青年?)の、それからの生活の変化とかが一人称で描かれているお話。お金は毎週届くし欲しいものは何でも願えば用意されているし。人と違う才能がありながら徐々に精神が侵されていくっていうか弱っていくさまっていうか。ラストなんかようわからん。でも一番引きつけられる不思議な作品ではあったね。


「L.Tのペットに関する御高説」
  職場でいつも自分のペットと妻が出て行った話をするL.Tという男の物語。夫が妻にプレゼントした猫は妻を毛嫌いし、妻が夫にプレゼントした犬は夫を毛嫌いし、その果てにどうなったか。わざと犬猫が敵意を持って攻撃や嫌がらせをしてくることが相手に伝わらないところがポイントかな、心の。まあでも自分の大切なもの高価なものをペットに壊されてその怒りの矛先をペットに向ける人は動物飼わないほうがいいよ。うちのおばあちゃんは40万のかつらをねこ1号にぐちゃぐちゃにされたけど(笑)笑い話にしてた。そのかわり何回言うねんその話、ってくらいしつこかったけど^^;悪かったよ^^;;


「道路ウイルスは北にむかう」
  作家がガレージセールで一目ぼれし、購入した絵は恐ろしい絵だった。捨てても捨てても元の場所に戻り、絵柄が変わってしまう。。よくある感じではあるけど、<道路ウイルス>っていうセンスはキングらしいよね。作品中、一番「わかる」オチでござんした。


「ゴーサム・カフェで昼食を」
  一番ハラハラして刺激のあるお話がコレなんじゃない。離婚話のために弁護士と妻とレストランに来ていたら、給士頭がキレてあたりは血の海っていう(笑)。。さあこれで妻との関係がどう変わるかっていうと。。うーん。


「例のあの感覚、フランス語でしか言えないあの感覚」
  これはなんだかようわからんかった^^;;ある夫婦の話なんだけどね。妻がなんかいやな予感?かなんかを感じるその感覚のことらしいんだけど。。キングの解説も短かったんだよねえ。終わらない地獄のことらしいんだけどね。


「一四〇八号室」
  あ、これ、映画で観たやつだ。ジョン・キューザック主演のあのつまらんかったやつ(笑)。んーとね、設定は同じなんだけど(主人公が心霊スポットを題材にした小説を描く作家だとか)。映画のほうがわかりやすかったし面白いシーンあったな。あの映画をコンパクトにまとめるとこういう感じかな。


「幸運の25セント硬貨」
  いわゆる「わらしべ長者」みたいな?と思って読んでいたらちょっとひとひねりあり。なんかこう、精神的に食い込んでくるというか、本当ならスッキリわかりやすいオチをあえて心理描写で状況を表してるからわかりにくい。。ぞ。。


以上。どれもまあつまらなくはないんだけど。どうもキングの短編はスカっとしないのよね。長編をただ短編にしたような描き方っていうのかな。あと、「ローズ・マダー」が一番自作の中でいい、って書いてあったけどどうなんだろ。次それ読みたいんだけど。