すべてが猫になる

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マリアビートル  (ねこ4.3匹)

伊坂幸太郎著。角川書店

元殺し屋の「木村」は、幼い息子に重傷を負わせた相手に復讐するため、東京発盛岡行きの東北新幹線<はやて>に乗り込む。狡猾な中学生「王子」。腕利きの二人組「蜜柑」&「檸檬」。ツキのない殺し屋「七尾」。彼らもそれぞれの思惑のもとに同じ新幹線に乗り込み――。物騒な男たちを乗せた東京発の新幹線は、北を目指して疾走する!(あらすじ引用)


昨年発売された伊坂さんの新刊は、3年ぶりの書きおろし。皆さんご存知「グラスホッパー」の続編ということで、それほど多大な期待はしていなかったのだけど(結構「グラス~」苦手だったんだよね^^;)、面白かったがな!(笑)。まあ、続編と言ってもコッチから読んでも全然OKな内容。リンクは多少あるけど問題ないと思う。・・・たぶん。


舞台は終始東北新幹線の車内。息子を人質に取られた元殺し屋でありアル中のおっさん・木村が「王子」という極悪非道中学生の罠に嵌っている状態。殺し屋?コンビの蜜柑と檸檬(もちろん本名ではない)が
恐ろしい悪のボスの命令で、監禁されたボスの息子を救出しトランクを取り返して来たところ。あとはこれまた殺し屋の七尾(通称てんとう虫)が自分の不運と闘いながら今日もまた任務に失敗。そんな感じの
一癖二癖ある人々が新幹線という密室の中、殺人や盗難や暴力や、さまざまなトラブルに巻き込まれながらリンクして行くというお話。

この中で一際目立っているのが中学生の王子。いやはやもう、こいつの頭の中一体どうなってるんだってくらい血も涙もない冷血動物。本なんか読んでて頭もいいもんだから、ずっと大人をバカにして生きて来たんだねー。多分、自分だってコイツと勝負したらあっと言う間にのされちゃうんだろうけどさ、それでもやっぱり子供は子供。あのね、子供の頃は誰でも自分だけが賢く見えちゃうの。しかし限度を越えた悪魔なもんだから、子供だから柔らかい罰をなんて思って読まないよ。最後せいせいした^^。

蜜柑と檸檬も極悪人なんだけど、檸檬機関車トーマスマニアだし蜜柑は文学青年だし、どっか憎めないんだよねー。他の登場人物についてはだいたいスカっとする終わりを迎えたんだけど、この二人に関してはちょっとショックなわたし^^;


そんなに物凄くグッと来る台詞やシーンがあるわけじゃないんだけど、人間の意見は他人に影響されるとか、色々思ってたことがその通り説明されていたのが良かった要素だな(←このように影響される)。どこかで聞いたような意見をまるで自分が一から考えたみたいに自分もきっと言うしね。結局は人間「どの考えに同調するか」だよね。
ノンストップで読ませられたのは「グラスホッパー」のほうだけど、こっちの方が自分は世界観に馴染めた気がする。


(462P/読書所要時間4:30)