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舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵  (ねこ3.8匹)

歌野晶午著。光文社カッパ・ノベルス。

ゲームとダンスが大好きで、勉強と父親は嫌い。生意気盛りの中学二年生・舞田ひとみが、小学校時代の同級生・高梨愛美璃と再会したのは、愛美璃が友人たちと、募金詐欺を繰り返す胡散臭い女を尾行していた時だった。数日後、女は死体で発見されて――。驚きのひらめきと無限の想像力で、ひとみは難事件に挑む!14歳の少女たちの日常と、彼女たちの周りで起こる不思議な事件をいきいきと描いた異色の本格ミステリ、シリーズ第二弾。さわやかに登場!(裏表紙引用)


前作「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」に続くシリーズ第二弾。タイトルにこうやって主人公の年齢が出るのって面白いね。若いときの3歳って大きいし、前作では子供子供していたひとみちゃんも、ようやく「リアルな中学生」に成長した感じ。特に読んでいて感じたのは、時代は違えど自分の14歳もこんなもんだったなあと。全ての14歳女子がこうだとは言わないが、優等生でもない、ヤンキーでもない、オタクでもない(キレやすい、は論外)平均的な女子像だと思う。だいたい本格ものにおいて子供の探偵役というと超能力があったり髪の毛が青だったり言葉使いがラノベ風であったり(ひとみの友人はモロそれ系なんだが^^;)、変にキャラが非現実的であったりするもんだ。頭が冴えているだけで、ひとみちゃんは普通の女の子なんだな。父親を「アレ」って呼んだり、物事に対して色々な考え方を持っているあたり。私、これぐらいの年齢の女の子とディスカッションして勝てる自信ないもん。


ところで本作の特徴はと言えば、語り手がひとみちゃんではなく友人の愛美璃になっているところだ。ちょっと人と違う(と愛美璃が思っている)ひとみちゃんを別角度から眺めることによって、その人物像が生き生きと映し出される。これじゃひとみちゃんがどういう考え方をしてどういうものが好きな女の子なのか、ってのがわからない、なんてことはない。ミステリとしては「ゆるミス」の部類に入ると思うのだが、興味が持てるものが多いし作品ごとの繋がりもあって連作の楽しさを味わえる。

だけど大人になるともっと複雑になって、型に入れられない大人が増えて行く。そしたらきっと、目の前にある謎だってもっと複雑になって行くと思うんだ。見えるものが多くなれば多くなるほど、この「普通の少女」の能力はなくなって行く気がしてならない。17歳、20歳くらいまでが限度じゃない?「舞田ひとみ30歳、腰痛、残業、ときどき探偵」なんてこっちは読みたくないからね。


(290P/読書所要時間2:00)