すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

家に棲むもの  (ねこ3.7匹)

小林泰三著。角川ホラー文庫

ボロボロで継ぎ接ぎで作られた古い家。姑との同居のため、一家三人はこの古い家に引っ越してきた。みんなで四人のはずなのに、もう一人いる感じがする。見知らぬお婆さんの影がよぎる。あらぬ方向から物音が聞える。食事ももう一人分、余計に必要になる。昔、この家は殺人のあった家だった。何者が……。
不思議で奇妙な出来事が、普通の世界の狭間で生まれる。ホラー短編の名手・小林泰三の描く、謎と恐怖がぞーっと残る作品集。(裏表紙引用)


出先で本を持って行くのを忘れたため、急遽「古書のまち」で購入。喫茶店で時間つぶしに最適かなと^^(←感覚おかしい人)
この人はありきたりの設定を、ちょっと違った味付けにするところが好きなのよね。かと言ってやりすぎてもいない。確かにキモイけど、ホラーが好きならこれぐらいは読めなきゃあきまへんで。


気に入ったのは、ファンにも人気の「肉」。タイトルだけで内容が想像ついちゃうだろうけど^^;、まあ、犬好きは読まない方がいいかな?そしてこれまた定評のある「食性」。お見合いの席で、相手の女性に「あなたの食性は草食か肉食か」なんて聞かれたら引くわそりゃ。「肉」もそうなんだけど、ちょっと頭のおかしい、会話の成立しない、常識の欠如した女性ってどうしてこんなに怖いんだろうね。最後に収録されている「お祖母ちゃんの絵」もほのぼのした馴れ初めじゃなく実際は女ストーカーだし^^;男子が主人公になった「魔女の家」はそれほど怖くはないからね。やっぱ、モンスターより人間だぁねえ。


小林さんは短編の名手ということで(「肉食屋敷」「玩具修理者」未読の方はゼヒ^^)、手抜きナシの
良作揃い。SFチックなものもなかったし、読みやすくまとまったセレクトじゃないかなー。


(251P/読書所要時間2:00)