すべてが猫になる

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隻眼の少女  (ねこ4匹)

麻耶雄嵩著。文藝春秋

古式ゆかしき装束を身にまとい、美少女探偵・御陵みかげ降臨!
因習深き寒村で発生した連続殺人。名探偵だった母の跡を継ぎ、みかげは事件の捜査に乗り出した―。(紹介文引用)


うおおおお!(ノ><)ノ
麻耶さんだ麻耶さんだ!!ゆきあやが麻耶さんを一番好きだったころの、あの麻耶ワールドが帰って来た!!!(ノ><)ノほんとは木更津悠也とか貴族探偵とかいらんねん(><)麻耶さんの魅力というのは、道徳心なんて語るやつは引っ込んでろ!本格ミステリーの定義を笑え!自分のキャラクターになんて何の愛着もないぜ!!という反逆性と同時にある、批判を恐れる心に打ち勝った開拓心のはずだ。私たちは初期麻耶氏の不器用さと少しの勘違いに、本格ミステリーへの愛を見た。「鴉」以降、若干丸さを見せる麻耶氏に成長と寂しさを感じながら、いつかまたこういう「らしい」作品を描いてもらえるだろうと期待をしていたのだ。
しかしご年齢と作家暦を考えると、今でも変わらない作風にゾッとしないでもない。まるで、「GOTH」以上のものは描けないという揶揄をものともせず傑作「銃とチョコレート」を世に解き放った乙一のようではないか。


と一人盛り上がっているが、本書が傑作だと言いたいのではない。
何を書いてもネタバレになりそうな作品なので内容については詳しく語らないが、本格ミステリーの基本からは逸脱せずに、キャラクターを掌の上で転がすかのような容赦のない展開。後半からの、読者を嘲るかのような「共感」との乖離。ミステリとしての二転三転する推理と人間関係の逆転劇、まるでマゾヒストのようなキャラクターへの試練の後に来る優しさ。こんなもんにまさかの続編を作れば麻耶ワールドとしては完璧だ。

(420P/読書所要時間3:30)