すべてが猫になる

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MOMENT  (ねこ3.8匹)

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本多孝好著。集英社文庫

死ぬ前にひとつ願いが叶うとしたら…。病院でバイトをする大学生の「僕」。ある末期患者の願いを叶えた事から、彼の元には患者たちの最後の願いが寄せられるようになる。恋心、家族への愛、死に対する恐怖、そして癒えることのない深い悲しみ。願いに込められた命の真実に彼の心は揺れ動く。ひとは人生の終わりに誰を想い、何を願うのか。そこにある小さいけれど確かな希望―。静かに胸を打つ物語。(裏表紙引用)


最近気になっていた本多さんの連作短編集に挑戦~。
いや~~~~良かった、良かった(><)。予想していた通り、モロ好み!これだけでもうすっかりファンになってしまった。大昔に「MISSING」(だったと思う)を読んだ時は全然ピンと来なかったのになあ~。人は前に進む生き物です^^。


基本はミステリで、そのミステリ要素がそんなに緩くないのがまずいい(緩くてもいいが緩くないに越したことはない)。
キャラクターが傍観者的人柄で、心は動かすけれど熱苦しくないのもさらに好み。へたすればちょっと打たれ弱い主人公を、傍若無人な葬儀屋・森野のキャラクターが救っている気がするのだ。
そして人間の生と死、人と人の関わりを扱っていながら綺麗事にしていない。それでも作品にあたたかい温度が抜けないのは、何かを諦めたりどこか寂しがったり、それでも人を求める人の救いがこの先にあるから。
なんとなく、自分が加納朋子さんを好きな理由と共通したものがある気がするんだけどどう?

なんか久々にエエ本読んだなー。涙腺緩んだわ。。本多さん、どんどん集めて行こうっと^^


(330P/読書所要時間2:00)