すべてが猫になる

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製造迷夢  (ねこ3.2匹)

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若竹七海著。徳間文庫。

渋谷の猿楽町署の刑事・一条風太は、妙な事件に関わっていた。薬で、ラリっていたところを保護した十二歳の少女・野中亜実が、署に逮捕されてきた万引き主婦のふくらはぎに噛みつき、全治二週間の怪我を負わせてしまったのだ。取り調べで亜実は、かつて主婦が自分を殺したから、転生した自分が復讐したのだと主張。捜査に殺人者の残留思念を読む心の探偵・井伏美潮が絡んで、事件は意外な展開を…(表題作)。 (裏表紙引用)


こちらの作品集はホラーだと思っていたが^^;、読んでみたらサイコメトラーが探偵役の普通のミステリーだった(普通か?)。主人公は一条という顔に火傷の痕のある刑事。連作となっていて、サイコメの
美潮と一条が毎回組んである事件の謎を解いて行くという作風。一条が最初は美潮の能力を疑っていて、事件を重ねるうちに信頼が湧いて行き愛情まで生まれて行くというもの。

ミステリーとして見ると難易度や題材は普通だが、それぞれの事件の関係者の背景や人柄が若竹さんらしくなかなかにどす黒かったりする。


ただ、この二人が惹かれ合うという展開にはかなり違和感があるような。。別に人の勝手だけど^^;
一条の頬の火傷も、それほど意味があったようには思えない。サイコメトラーという、人とは違った人生を歩んで来た美潮との釣り合いを考えたのだろうが、彼の魅力や人間味に一役買っているとはとても言えない。様々な要素全て含み、好みとは言えない作品集だった。

(323P/読書所要時間2:30)