すべてが猫になる

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ソラリスの陽のもとに/Solaris  (ねこ3.8匹)

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スタニスワフ・レム著。ハヤカワ文庫。

観察ステーション駐在員として惑星ソラリスに到着した心理学者ケルビンは、先任駐在員たちが一人残らず発狂状態に陥っているのを発見した。一見何の変哲もなくものうげにたゆたう海が、様々な驚くべき能力を持つ生きている〈海〉だったのだ! 大宇宙における超知性の問題に肉薄する傑作! 完訳決定版!
(裏表紙引用)


なんか舌噛みそうなお名前ですが、ポーランドの作家さんだそう。この新表紙、いいよね^^トールサイズだけはなんとかしてほしい、本棚の水色コーナーがガッタガタ。今、夏のSFキャンペーン中ということで、大型書店ではハヤカワ文庫コーナーに名作花ざかり。マニアの方々にはきっと定番の作品ばかりなのでしょう^^この平積みしてあるフェア本、全部買ってやる。うはうは。
というわけで、こちらは「SFハンドブック」オールタイムベスト第3位の作品。ワンパターンですいません。ちなみに第2位は今回敬遠しちゃいました。

しかし、こちらの作品は「ソラリス」として二度映画化されているらしいので有名なのかな?という気がしますが、作家名を聞くのは初めて。ブラッドベリとかクラークとかアシモフなら本好きであれば名前ぐらい誰でも知ってるかな、って思うんだけど、こちらは??知る人ぞ知る、という方なのでしょうか。


そんなこんなで前置きが長い。

結論から感触を言うと、どうなんだろうね、これ。と自問自答。惑星ソラリスの存在がもうなんというか凄すぎて面白くて、後半「あれ、話はそっちに行くの?」という意外性が。壮大なSFをベースにした、一人の男のヒューマンドラマと宇宙の存在定義、ってことでどうでしょう。「2001年宇宙の旅」のHALみたいに(早速影響受けてます^^)ソラリスがもっと人間味を出して来ると好みだったのだけど。
洋服ダンスの中で自殺していた研究員とか、主人公が<お客>と呼ぶ「甦って何度も現れる死者」とか、
謎の黒人女性とか、お話自体は凄く新鮮に感じる(61年の作品だけど)。個人的に、主人公ケルビンのハリーへの想いの変化に戸惑うばかりだった。

いや、好きだし良い作品だと思うのだけど。今はSFマニアでない読者の感想というスタンスで柔らかくずっとやって行きたいので、5年後10年後どれだけ自分の理解が深まるかってところ。映画も観てみます。

(368P/読書所要時間3:30)