すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

光待つ場所へ  (ねこ3.9匹)

イメージ 1

辻村深月著。講談社

新しい光を探して――希望に満ちた作品集  著者ならではの温かな眼差しと丁寧な筆致で描かれる“初めての挫折”、“嘘つきの女の子”、“中学生時代”。新たな一歩を踏み出す勇気をくれる三作品を収録。 (紹介文引用)


辻村さんの新刊。
今回もそれぞれが過去の辻村作品のスピンオフが3編収録されているので、「ロードムービー」の友達みたいな位置関係。いやあ、最近の辻村さんはますますいいね。「ふちなしのかがみ」「ゼロ、ハチ~」あたりで「もうそれほど好きじゃなくなったかなー」と思っていたのだけれど、ここんとこの作品は好きだった初期よりさらにいい!

と言っても、不快指数は高し(笑)。その不快なところも含めて好きではあるんだが、今回出て来るヒロイン達がどいつもこいつもプライドの高い自信過剰な「自分は他人と違うシンドローム」にかかっている^^;いや、実際他人より長けているところがあるからおかしいわけじゃないんだけどね。若いし。実際、「私は人と同じ普通の女の子よ♪」と本気で思っている美人&天才、そんな天然女子は漫画にしか居ないからね。そのいやらしい心理を具体的に、リアルに描きすぎているからイタいんだよなあ^^;この年代で読めばまた違うんだろうけど、自分の場合は「心当たりがある」懐かしさと恥ずかしさがブレンドされるからさらにイタい。いや、別に美人でも天才でもなかったけどさ。誰でもとは言わないけれど、若いころって自分以外の人間が全員バカに見える時期ってない?^^;;大人になってやっと丸くなって自分こそがバカだった部分に気づくんだけどね。。。

えと、やっと内容に触れます。

一編目は、「しあわせのこみち」。
「冷たい校舎の時は止まる」のスピンオフ。
ごめん、もうキャラクター全然覚えてない^^;
文学部二年生で、絵の才能がある女子が主人公。こいつのうぬぼれようがいきなりの大物^^;ていうか、ちょっとこう書くと語弊もあるけど美しい風景を美しいと思う感性が自分にしかないと思えるってある意味凄いな^^;あと、「譲歩」ぐらい、高校生なら大抵通じると思うだけど。。。おかしい?
良かったけど、ラストの「それから言った」の後の言葉はあえて書かないほうが良かったと個人的に思った。

二編目は、「チハラトーコの物語」。
スロウハイツの神様」のスピンオフ。
さすがにこれのキャラ(環)を忘れていたら頭おかしい(笑)。
これは、売れない芸能人?の女子が、自分のために、他人を楽しませるために嘘をつき続けるというお話。これがイタさでは一番上だったかな。虚言癖だよねえ。。中学、高校のとき、こういう子いたよ。芸能人のコンサートに一緒に移動車乗って着いて行ったとか(イタタ)、自分の彼氏の名前とか言って黒板に「春山洋志」って書いたヤツとか(それホットロードの主人公だろ、と突っ込んだ優しくない自分)。。まあそこまでじゃないけど似たような部類。
ちょっとこれは先生とのラブ要素とか、下着で踊るイカれた芸能人が気持ち悪かったな。面白かったけど。。

三編目は、「樹氷の街」。
これは私の大大大好きな「凍りのくじら」と「名前探しの放課後」のスピンオフ。

まつながくーーーーーーん!!!!(ノ><)ノ
たしかこの子、他の作品にもサラッと出て来てくれたよね。ピアノの神童!この子大好きなんだあ。
これが一番作品としては不快要素が少ないし、理帆子が出て来てくれたこともあって面白かったなあ。「すこし、ナントカ」とかのSFシリーズ発言してくれなかったけど(笑)。


長くなったのでここまで。
自分が、どうして「リンク」が嫌いって言ってたのか分かった。読んだのに、覚えてなかったりするからだ(笑)。覚えてたらこんなに楽しめる(笑)。。。特にこれは知らない人でも楽しめるだろうし。ファンならもちろん読んで正解の痛々しく面白い作品です^^

(309P/読書所要時間3:00)