すべてが猫になる

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ビッグ4/The Big Four  (ねこ3.7匹)

内緒で南米に居るヘイスティングスに会うために旅行の支度をしていたポアロのもとに、ヘイスティングスが戻って来た。再会を喜び合う二人だったが、いきなりの災難がポアロを襲う。ポアロの家に倒れこんで来た謎の男が、目を離した隙に毒殺されたのだ。男が暗示する数字の4の意味するところは?ポアロヘイスティングスが再び手を組んで挑む国際犯罪の行方やいかに!


この書庫は基本的に原書の発表順に更新しているつもりだったが、お詫び申し上げます。発表年(1927)は同じだが、ラストでポアロが「引退してカボチャ栽培をする」という発言があることからも明らかな通り、先にアップしたカボチャ栽培で登場する「アクロイド殺し」の方が本書より後でした。

というわけで、再読だがまったく内容を覚えていなかった。印象がない=あまり気に入っていなかった?と思い込んでいたのだが、本書は「短篇を長篇に作り直した」ことや、ヘイスティングスが大活躍することや、ポアロの双子の兄が登場(笑)することや、ポアロが死亡(笑)することなど、特徴が明確な上愛すべきピンポイント満載である。ポアロもので本格ミステリではなく冒険活劇というところも珍しいのではないだろうか。冒険物としての面白さは正直「秘密機関」「茶色の服の男」「チムニーズ館の秘密」の方が上だと思うが、キャラクター物としては番外編を読んでいるような楽しさに満ち溢れているのではないだろうか。

短篇が長篇になったために、冒頭とラストだけでも比べればまるで別のお話のようになっているが、ネタの多さという点では本書に勝てる作品はなかなかないだろう。世界征服を企む国際犯罪組織「ビッグ4」は中国人、アメリカ人、フランス女性、「破壊者」となかなかの曲者ぞろいだが、ポアロの相手としては不足はない。冒険ものとしてはめくるめく展開に軽く楽しみながら、ポアロヘイスティングスの熱い友情を堪能して下さい。


(335P/読書所要時間3:00)