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六の宮の姫君  (ねこ3.5匹)

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北村薫著。創元推理文庫

最終学年を迎えた≪私≫は卒論のテーマ「芥川龍之介」を掘り下げていく一方、田崎信全集の編集作業に追われる出版社で初めてのアルバイトを経験する。その縁あって、図らずも文壇の長老から芥川の謎めいた言葉を聞くことに。≪あれは玉突きだね。……いや、というよりはキャッチボールだ≫――王朝物の短編「六の宮の姫君」に寄せられた言辞を巡って、≪私≫の探偵が始まった……。(裏表紙引用)


「円紫さんと私」シリーズ第4弾。
このシリーズはお気に入りだったのだけれど、今回は割に異色というか、卒論小説いや芥川・菊池寛ミステリーとなっていて敷居が高かった。これは両氏に興味がないとかーなーりー辛い読書になるのではないだろうか。ていうか、なった。ちょこちょこ惹かれるくだりがあるのでなんとか読み切ったが、北村薫氏の文豪に対する造詣の深さを思い知らされた意外に他の感想がない。本書の内容についていけないなら文系と言ってはいけないのではないか?とまで思いつめるはめに。適当で何の参考にもならん記事しか書けなくてすまぬ。

うーん、でもまあ、北村氏なので別に本書は嫌いではない。芥川・菊池の謎よりも初めてのアルバイトに奔走する「私」の姿とか、円紫さんとお茶をしながら度々目から鱗が落ちているシーンとか、やっぱりこのあたりは私を癒してくれる時間なのだ。ゆったりとした流れの中、着実に成長していく「私」、次作の「朝霧」で終わりなのかな?


(268P/読書所要時間2:00)