すべてが猫になる

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刑事の誇り/Hard Line  (ねこ4匹)

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マイクル・Z・リューイン著。ハヤカワ文庫。

万年夜勤刑事だったパウダー警部補は失踪人課の長になった。が、正規の部下は車椅子の女刑事ただ一人という小さな部署。ぼやきながらの初仕事は、自殺未遂者の身元調べだった。その女は全裸で発見された上、一切の記憶がないという。さらに家出した妻、行方不明の姪など、捜索依頼が次々と舞い込む。折しも彼は息子が犯罪に関わっている気配に気づいた。公私に山積する難題に立ち向かう不僥の辣腕刑事!シリーズ第二弾。(裏表紙引用)


きゃ~~~~
きゃ~~~~~
パウダー警部補~~~~~!(*▽*)ノ

本日わたくしゆきあや、新たにお気に入りのキャラクターが出来ました!!
その名も、リーロイ・パウダー警部補!!!ひゅーひゅー!!(*^▽^)ノノ☆

さてさてわたくし、リューインは多分3冊目なのだが、この噂にきくパウダー警部補シリーズは初めて。

ていうか、これかなり初っ端から衝撃だと思うよ。
主人公のバツイチ独身警部補が頭でっかちで融通が利かなくて口が悪くて嫌われ者だけど仕事は出来る、っていうのはよくある設定かもしれない。
が、それがあまりにも「過ぎる」。。。
今日から配属された部下が勤務中に銃撃され下半身不随になり、車椅子生活を余儀なくされた女性部長刑事だった!というのがまず衝撃。え、いきなりナニこの展開?と思ったら、何が気に入らないのかパウダーはその部長刑事(フリートウッド)に罵詈雑言と嫌味と皮肉の雨嵐。

「おれは看護人になるために、この課を五年もやってきたわけじゃない」だの、
「おれが要求したのはフル・タイムの警官がふたりだ。なのにやつらが寄こしたのは車椅子の刑事ときた。それで哺乳壜は持ってきたかい」だの、フリートウッドにかける言葉の一つ一つがほんとにひどい。
その上朝でも夜でもこき使い、あげくに彼女の家にまで押しかける。

こんな最低野郎なのに憎めないのにはたいてい理由がある。裏を返せば「彼女を完全復帰させるために発破をかけていた」不器用設定や、最後の最後で「優しい照れ屋の人間だと判明する」ジャイアン効果がだいたいにおいて考えられる。簡単に言えばそういうことでもあるんだけど、結構最後の最後まで性格は変わらないんだ、実は。ただ、二人の関係、展開には大きな動きがある。
カッコイイわけじゃない、人情屋ですらない、ニュータイプのネオ・ヒーロー。彼の行動と言動の食い違いから、また彼がいつもフリートウッドに発する建前から、何を読み取るかがこの物語を楽しむ鍵だ。

ミステリ的にも少し変わっていて楽しめると思う。
失踪人課なので派手さはない。メインとなる事件2つから、はたまた関わりがあるようなないようなガヤガヤと毎日訪れる市民の訴えなどが目まぐるしく動き、パウダーの息子やその友人の諸問題が絡み合っていつの間にか物語は収束するという形。これで混乱しないのだから尊敬してしまう。あと、アルバート・サムスンがパウダーの友人としてちょこちょこ登場するのも嬉しい。サムスンのほうにはパウダーが出てるんだよね(*^^*)。

次は一作目を読もう(るん♪)。

(383P/読書所要時間2:30)