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玄武塔事件  (ねこ3.8匹)

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太田忠司著。創元推理文庫

石神探偵事務所の一員でもあるアキは、友人の多賀谷紫織らと、紫織の伯父が住む玄武屋敷を訪れた。だが滞在二日目、屋敷の端に建てられた玄武塔と呼ばれる堅固な石造りの塔の中で、殺人と人間消失という謎に満ちた事件が起こる。それはどう見ても、密室状況での出来事だった!思いあまったアキは、探偵事務所所長の野上に助けを求める。少年探偵・狩野俊介シリーズ長編第四弾。 (裏表紙引用)


どんどん出ている、狩野俊介シリーズ創元推理文庫版もついに第四弾♪^^

本書は今までと少し流れを変えて、ウェイトレス探偵アキちゃんの視点で描かれた事件。読者が飽きそうになるあたりでこういう変化をくれるのはいいね^^。

さて、今回アキが向かったのは友人・紫織の伯父宅である玄武屋敷。町というほどでもない、海を越えて
立ち並ぶ小さな民家。その中で、石造りの西洋建築である玄武屋敷は異様な佇まいを見せていた。玄武屋敷当主の多賀谷貴峰は、息子貴司と紫織を結婚させようとするが当の本人たちにその気がない。やがて貴峰の義妹母子が現れ、喧喧とした雰囲気の中密室殺人が起こるーー。。

塔で起きた陰惨な殺人事件と、殺風景な塔内での密室、加害者?の消失劇。五十年前に起きた多賀谷家での殺人事件はどういう関わりを持つのか?なかなか詰め込んだ内容だ。そしてやはり野上さんと俊介が
登場する(ジャンヌも^^)。アキちゃんが探偵役となって謎解きをするのかと想像していたが、そんなわけがなかった^^;後半は野上視点となり、いつもの感じで推理が展開される。
う~ん、いいなあ。
今回も、人間の醜さ悲しさに打ちのめされる俊介。しかし最後まで諦めずに事件を解決した。えらい!
そして再起不能かと思われた俊介を慰める一行。そのシーンには胸が痛くなったが、ラストが明るくて
良かった。俊介、どんなに大人の争いが醜くても、人を殺したり陥れたりする人間なんて一握りだよ。

                       
(325P/読書所要時間2:30)