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片耳うさぎ  (ねこ3.3匹)

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大崎梢著。光文社文庫

小学六年生の奈都は、父の実家で暮らすことになった。とんでもなく大きくて古い屋敷に両親と離れて。気むずかしい祖父に口うるさい大伯母。しかも「片耳うさぎ」をめぐる不吉な言い伝えがあるらしいのだ。頼りの中学三年生さゆりは、隠し階段に隠し部屋と聞いて、張り切るばかり―二人の少女の冒険が“お屋敷ミステリー”に、さわやかな新風を吹き込む。(裏表紙引用)


大崎さんのミステリ長編。
やっぱ大崎さんの作品は短編集とか本屋ネタの方が好きかも。あらすじだけ読むと面白そうだったんだけどなー。。主人公が小学生の女の子っていうのも嫌いではないはずだし、設定はお屋敷系血縁ものの本格ミステリで好物だし。主人公のナツもさゆりも性格はいいし、楽しめない要素はないはず。
だけど、なんだか最初から最後まで乗れなかったー。
地の文と、キャラクターの年齢にものすごい齟齬を感じる。。よって小学生が主人公だけど、ジュブナイルって感じもしない。そして、ナツの言葉使いが変だ。この年齢で、この性格の女の子が使う言葉じゃない気がするし、時々思い出したように子供っぽい言葉使いになったりする。いやもう、ほんとにそれだけの理由で入り込めなかったのだ。

しかし、ミステリとしてはなかなかのもの。
こういう大人の柵を描いた謎を子供が解くっていうのもいいし、うさぎのぬいぐるみ=忌みもの、という発想もナツに合っていていい。それぞれの人柄が、謎の氷解とともに変化するのもドラマチックだろう。
それがナツの視点から来るものだったはずだから、なんだかんだ言って正常に”本書の正しい読み方”が出来ていたんだよな。

                              (308P/読書所要時間3:00)