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図書館の美女/The Only Good Yankee  (ねこ3.7匹)

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ジェフ・アボット著。ハヤカワ文庫。

ミラボーの町で、犬小屋や郵便受けが連続して爆破される事件が発生した。運悪く現場に居合わせた図書館長のジョーダンは、腕に怪我を負ってしまうが、そんな時、土地開発会社に勤めるジョーダンの昔の恋人が、上司と一緒に現われた。やがて町は開発をめぐり大騒ぎに。ついには殺人までもが起き、さらに新たな爆破事件で死者が…アガサ賞、マカヴィティ賞ダブル受賞作『図書館の死体』に続く面白さ抜群のシリーズ第二弾。 (裏表紙引用)


数年前に第1弾を読んだのだが、まったく何も内容を覚えていない。面白かったのかどうかすら記憶にない。(←えばるな)というわけでおそるおそるの続編。このシリーズの邦題には必ず「図書館」が付いていて、日本の読者受けを狙ったものと思われる。本書を読んだ限りでは、図書館で事件が起こるわけでもないし主人公が図書館長というだけなので、”本好き、図書館好き”を狙った作風をアテにして読まない方がいいと思う。また、原題では”ヤンキー”の意味するところがアメリカと日本とで違うらしいから意味が通じない事を恐れてのものか。

というわけでこのシリーズ(というか著者)はアメリカで大人気らしい。まあそれもわかるな、という印象だった。コージー・ミステリにしては事件が派手だが、男性作家によるものと考えてこれも個性の1つと言える。ただ、主人公の茫洋としながら実は繊細な性格、捜査に積極的でない資質、事件よりも
主人公とガールフレンド、元ガールフレンドの板ばさみや土地開発問題の方に物語の中心が寄っていて、どこか安心して読める。会話も内容自体かなり強烈なのだが、ユーモア要素がふんだんに散りばめられてあるので楽しい。ミステリの謎解きを期待して読むと読後ぽか~んとするのだが、人間ドラマの方に神経が行ってしまうので許せてしまいそうだ。まあ、こういうのが好きな人が読んでいればいいんじゃない。4作完結らしいので、今年中に集めてしまおう。


しかし、やはりシリーズものは前作の記憶があるうちに読んだ方がいい。。。重要な要素と思えるジョーディと実父・ボブと前作で何があってこうなったのか?ジョーディの母親はどうだったのか?
キャンディスとの馴れ初めは?ジューンバッグ署長との出会いは?様々な事が気になってたまらなかった。。。

                             (431P/読書所要時間4:30)