すべてが猫になる

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ひとりで歩く女/She Walks Alone  (ねこ4匹)

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ヘレン・マクロイ著。創元推理文庫

西インド諸島を発つ日、わたしは存在しない庭師から手紙の代筆を頼まれた。さらに白昼夢が現実を侵したように、帰途の船上で生起する蜃気楼めいた異変の数々。誰かがわたしを殺そうとしています……一編の手記に始まる物語は、奇妙な謎と戦慄とを孕んで闇路をひた走る。眩暈を誘う構成、縦横無尽に張られた伏線の妙。超絶のサスペンス!(裏表紙引用)


うおお!!(ノ><)ノ こういうミステリを待っていた!
昨年から注目のヘレン・マクロイ、その伝説の手腕を堪能した1冊!

まず話の掴みが素晴らしい。
『以下の文章は、わたしが変死した場合にのみ読まれることとする・・・』という衝撃の書き出しで始まる手記は、書き手がサンタ・クリスティーナ号の乗客である事と、女性であるという事しかわからなくなっている。手記の中に登場する乗客とパーサー、書き手が船に乗るまでに至った経緯が事細かに記述され、緊迫感ある内容。そして事件は起こる。章が変わって、警察が手記を元に捜査を始めるのだが、そこからさらに読者と手記の女の予想を覆す展開が待っている。手記中、どうしても怪しい人物が居るのだがどうもそれすら曲者のようだ。読み手の考える先へ先へと登場人物が目まぐるしく動き、紛失した大金の行き場と絡めてどうにもこうにも複雑で奇妙な方向へ事件は進んで行くのだ。

いやあ、面白かった!!乗客の持ち込んだ蛇や手記の女が書かされた遺書など、理に合わない事ばっかり起きるんだもんなあ。これですよ、このワクワクドキドキが欲しいのよ読者ってやつは。無駄な登場人物が居ないんだもんなあ。全てが論理的に終結した時の満足感といったら。いっぱい惑わせてくれてありがとう。他にもこれぐらいのレベルの作品があるといいなあ^^。

                             (389P/読書所要時間4:00)