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徳利長屋の怪  (ねこ3.6匹)

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はやみねかおる著。講談社文庫。

亜衣たち三姉妹のいる徳利長屋に落ち着いた夢水清志郎左右衛門は、住人たちと花見で浮かれる。ところが幕府と薩長は一触即発、明日にも江戸は火の海に。どこで知り合ったか夢水は、勝海舟西郷隆盛の両雄を徳利長屋に呼び寄せた。名探偵は歴史を変えて皆を幸せにできるのか!?夢水時代劇場大団円の巻。

<名探偵夢水清志郎事件ノート>外伝。前作『ギヤマン壺の謎』に続く後編。ついに<怪盗九印(くいん)>の正体が明らかに。あれ?これははやみねさんの別シリーズのクイーンとは関係なかったのかな^^;
大政奉還後の大江戸を舞台に、今回も清志郎左右衛門の推理が輝く。西郷隆盛勝海舟などが出て来て
トリックに関わるのでますます楽しめる。第二の事件である「怪盗九印は最後に笑う」の団子串窃盗事件(笑)や、外伝の外伝「れーちの東海道中膝栗毛」も息抜き感覚で楽しい小粒ミステリ。猫の怪談、普通に怖すぎたんですけど^^;;なんで亜衣ちゃんは平気なんだ。。。そして清志郎の「この世の中でいちばん困るのは、不思議を不思議とも思わない人。その次に困るのは、不思議を不思議として受け入れ、それ以上考えようとしない人。」の台詞にはグサッと来たなあ。。

表題作の”不思議”は「江戸城を消す」からこちらが連想した通りのトリックだった。ちゃんと考えたよ、はやみねさん!^^vどちらかと言うとトリックそのものを売る作品でなく、「皆が幸せに」という全ての人の願いを、歴史上の人物を動かす事によって強固なものにしている前向きな作品。そして清志郎がまさかの・・と思いきや、ラスト一行で泣かせてくれる。

さて、次作からはまた現代に。やっぱそっちの方が馴染めるので楽しみだ。

                             (266P/読書所要時間1:30)