すべてが猫になる

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虹の家のアリス  (ねこ3.7匹)

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加納朋子著。文春文庫。

サラリーマンから探偵に転身した仁木順平と助手の美少女・安梨沙が営む小さな探偵事務所には今日も奇妙な事件が持ちこまれる。育児サークルに続く嫌がらせ。猫好き掲示板サイトに相次ぐ、飼猫が殺されたとの書き込み。仁木の息子の恋人につきまとうストーカー。六つの事件の後で、安梨沙が心に決めた決意とは。 (裏表紙引用)


ちょっとふさいでいる時には加納さんがちょうどいい。絶対に嫌な気分にならない上に+αのポジティブ要素があるから。常備していたい作家さんだけど、もう未読本そんなに残っていないんだよね。。
本書は仁木&安梨沙シリーズの第2弾。『螺旋階段のアリス』を読んだのは昨年の事だったはずだけれど、50%くらい忘れていたなあ^^;

本書は第1弾とは少し印象が変わって、日常探偵ものらしさが倍増。安梨沙と同じくらい仁木が目立っている。多少のポカはするものの、安梨沙のフォローがうまくて活躍している。。うーん、ちょっと目頭が熱くなって来るぞよ。不思議の国のアリスの世界をそのまま溶け込ませながら、題材は主婦サークル、乳児誘拐、花泥棒と女性作家らしい事件が目白押し。本来なら50代のおっさんには適さない分野ばかりだけれど、仁木の人柄には合うね。依頼される事件と平行に、仁木の家族や安梨沙の環境、未来なども前面に出して描かれている。このシリーズも曖昧なまま放置されるパターンかと想像していたので、ラストには驚いた。仁木と安梨沙はずっとこの不自然だけれど刺激し合う関係を続けて行くのかもしれないしそうであって欲しい。仁木の年齢のキャラに”成長”という言葉はそぐわないが、彼は安梨沙と出会って間違いなく軌道に乗った。シリーズは完結したかもしれないが、2人の人生の第2章はこれから始まるのかもしれない。

                             (316P/読書所要時間2:30)