カール・ハイアセン著。文春文庫。
あの男、許さない!―結婚記念旅行の途上、夜の海に突き落とされた女、ジョーイ。九死に一生を得た彼女は、元捜査官のミックと手を組み、自分を殺そうとした夫への復讐を決意した。自分は死んだと思わせて、徹底的に意地悪な仕返しをしてやる!痛快軽快な傑作サスペンス。さくっと胸のすく物語をお探しなら是非どうぞ。 (裏表紙引用)
2009年このミス海外部門第2位作品。
ジャンルは復讐もののサスペンス。
夫・チャドに船から突き落とされたお金持ちのジョーイは、八時間海上を彷徨った末島でひとり暮らしをしていたミックに助けられた。いい関係になったミックと共に復讐を誓ったジョーイだが、夫が自分を殺そうとした動機がわからない。ジョーイが死んでも莫大な遺産はチャズの懐へは入らないのだ。ジョーイの兄と親友を戦力に加え、徐々にチャドを精神的に追い詰めて行くジョーイ。一方チャドは、妻を亡くした悲痛を演じながら悪徳農園主ハマーナットと関わりを深めてゆく。。。
典型的な復讐ものと違い、チャドが間抜けで憎めないキャラクターであったり、護衛の悪役トゥールが老女モーリーンと出会ってだんだんいい奴になって来たりと、ジョーイを積極的に応援したい作風とはなっていない。もちろんチャドがジョーイの出現に慌てふためき刑務所に放り込まれるのが望みだが。妻を殺そうとした動機からしてバカすぎだし、始終セックスの事しか考えられないお猿っぷりも笑える。もう復讐することそのものすらバカらしくなりそうなキャラ造形。それゆえ、ハードさはなく非常に軽快でスカッとする作品となっている。
個人的には、もっともっとはっちゃけていても良かったかな。復讐方法が最初はセコいのでだんだん飽きて来た^^;疲れた頃に再びノって来たので損したかも。印象としては、文章も展開もこなれていて良いんだけど、キャラも展開もどれを取っても”それなり”だった気がする。
(547P/読書所要時間5:00)