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ゴミと罰/Grime and Punishment  (ねこ3.8匹)

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ジル・チャーチル著。創元推理文庫

ジェーンの朝は、三人の子供たちを起こして回ることから始まる。裏庭恐怖症の飼犬君にはえさ、えさ。平凡な一日?でも、今日はいつもと様子が違う。お隣で、掃除婦さんが掃除機のコードで首を絞められ、殺されてしまったのだ。おまけに疑われたのは近所の主婦一同。わが家を守るため、ジェーンは探偵役を買って出たが……。アガサ賞最優秀処女長編賞に輝く期待の本格ミステリ!(裏表紙引用)


10年位前からずっと気になりつつ手をだしていなかったジル・チャーチルの人気シリーズに挑戦。
いや、今読んで良かったかも。20代の頃の自分なら、こういうコミカルな雰囲気や論理のユルさはミステリと認めたくなかったであろうし、主婦でなくともある程度の家事は身に付いている人であればあるほど気に入りやすいシリーズだろうから。

確かに、読み始めはダルかった。未亡人のジェーンが、三人の子供達の世話でどたばたどたばた、近所の主婦仲間が料理を持ち寄る準備にあわあわじたばた。もっと落ち着けよ!読みづらいねん!と一瞬挫折の二文字が頭をよぎったが、事件が起こってから俄然面白味が出て来た。<にこにこヘルパー>から派遣されて来た掃除婦が、ジェーンの隣に住むシェリイの家で絞殺された、という出だし自体はそれほど興味深くはない。届いた料理の順番はともかく、皿洗い機が作動していた事から犯行時刻を絞るくだりも、検証するべき可能性が大きく抜けている。が、恐喝の可能性が出て来た事から事態は大きく進展する。進むべき推理の方向がはっきりと浮き出て来たのだ。

ミステリ的には大きく取り上げたい長所は皆無だが、特徴と言えばやはり女性ならではの、主婦ならではの着眼点が生きているところか。そしてお気楽太平に見えたジェーンに、こんな同情すべき癒えない傷があったとは。。。そして、一見仲睦まじく見えた主婦仲間達それぞれに、痛ましい隠された秘密があったりする。これから先、お互いをさらに深く見つめ合い交際して行くのだろうか。大人の付き合いというもので乗り切って行くのか。シリーズの先が楽しみである。

が、ふと思った。
こういうコージー風ミステリって、順番通りに読まなきゃまずくない?第2弾以降は今回の登場人物一覧から抜けている人物が本書の、、、って事にならない?^^;

                             (288P/読書所要時間3:00)