すべてが猫になる

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レインレイン・ボウ  (ねこ3.7匹)

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加納朋子著。集英社文庫

高校ソフトボール部仲間の通夜で再会した、七人の女性たち。二十五歳を迎え、それぞれが悩みやトラブルを抱えていた。過酷な仕事に疲れた看護師、厄介な職場で奮闘する栄養士、過去のあやまちを引きずる主婦…。彼女たちは、傷つき、迷いながら自分だけの答えを見つけていく―。ミステリのエッセンスを加えながら、前向きに生きようとする女性の姿を描いた、爽やかな青春群像劇。 (裏表紙引用)


『月曜日の水玉模様』の続編。

え、これ、続編・・・?というぐらい、前作と作風?が変わってしまっていますね。これはこれでいいんだけど、陶子&萩コンビの活躍と陶子の家庭状況の進展を期待していたのでちょっとびっくり。
今回は、陶子が高校時代に所属していたソフトボール部OGのチーズ先輩が急死したことから通夜に集まった同じくOG七人それぞれの今の人生にスポットをあててゆきます。

『サマー・オレンジ・ピール』
美久の巻。
かつて、チーズと同じ彼に想いを寄せていた美久。今、美久はその彼と結婚し子供が生まれている。
美久が陶子に打ち明けた、過去の罪とは。。
陶子の言う事が本当に真実かはわからないですね。でも、思い込みというものはひとたび真実が明らかになってしまうと”縛り”から解放されるんですね。

『スカーレット・ルージュ』
陽子の巻。
かつて皆に恐れられていた陽子は、成人式の化粧をきっかけに美しい出版社員になっていた。打ち合わせで出会った作家の小原にチーズ先輩の話を始めた陽子だが。。
こういう、気の強い女子って必ず居ましたねえ。あまり完璧で正しいと周りが疲れちゃうんだよね。。
陽子、いい出会いをしましたね^^

『ひよこ色の天使』
佳寿美の巻。
ひよこ保育園に勤める独身の佳寿美。園児のヒロくんは父子家庭で、さまざまなトラブルが発生する。。
ヒロくんのお父さん、いいキャラだなあ^^ほのぼのしました。

『緑の森の夜鳴き鳥』
緑の巻。
看護師となった緑は、ある日から胃潰瘍で入院している若い患者の問題行動に巻き込まれるようになった。。
少年の隠された悩みを共有することによって、自分の立ち位置や決意が再確認できた緑。かっこいいですね。美久と陽子は自分と違いすぎて距離を置いて読んでいましたが、佳寿美とこの緑の巻は力が湧いて来る感じですね。

『紫の雲路』
りえの巻。
パラサイト・シングルを地で行くりえは、姉の結婚式の二次会に紛れ込む。そして、村崎という不審な男と知り合いになったが。。
だんだん、チーズ先輩の過去や人となりが暴かれて来ましたね。りえについては、「働けよ」としか言う事がないですが、人の内面をきっちりと見ていますね。なんでもやれるよ、この子なら。

『雨上がりの藍の色』
由美子の巻。
栄養士となった由美子は、商事会社の社員食堂に派遣される事になった。人間関係のトラブルだけでも疲れるのに、食堂に危機が。。。
これは素敵なヒューマンドラマでしたね。一番感激したかも。こんなパワー、普通はないなあ。知識とセンスも凄いけど。由美子ののほほんとしたキャラが憎めない。

『青い空と小鳥』
里穂の巻。
やっと陶子と萩がちゃんと登場。ついでに真理ちゃんも。谷さんまで出て来て笑えますね。
『月曜日の~』とは別作品と考えて、特別出演で出て来た、って考えた方がいいかも。
チーズ先輩と親友だった里穂が行方不明に。そして、すべての謎がおさまるところへおさまりました。


以上。
短編集の皮を被った長編ですね、これは。
チーズ先輩と里穂の謎より、それぞれの全く違う道を進んでいる25歳の女達の生き様を描いた作品です。自分は全然高校にいい思い出がないのでそういう意味での共感はなかったですが、大人の女性になってしまっている人、まだまだ幼い人、様々です。微妙な年齢なんですね。自分だったら、由美子か陶子あたりと友達になってるかなあ。。
続編は出てませんか?>べるさん
このままじゃ陶子のあれやこれやや、萩とのあんなこんなが置き去り。。。

                             (304P/読書所要時間2:30)