すべてが猫になる

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ババ・ホ・テップ/Bubba Ho-Tep  (ねこ3.8匹)

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ジョー・R・ランズデール著。ハヤカワ文庫。

エルヴィスは、生きていた。30年前に心臓発作で死んだのは替え玉で、本人はここ、テキサス州の老人ホームで、老いた体をベッドに横たえているのだ。怠惰で目的のない日々がひたすら続く、そんなおり、彼はホームの中を超自然的生物が徘徊していることに気がつく。燃えるロックンロール魂がよみがえった!キング対怪物の対決や、いかに?奇想天外にして感動の表題作をはじめ、テキサスの大巨匠が叩き出す渾身の12篇。 (裏表紙引用)


最近早川書房から出している「現代短篇の名手たち」シリーズの4番。
beckさんが紹介されていた本で、凄く興味を持った。予約しようかな~、と言っていたゆきあやに「買っても損はない」とbeckさんが仰った理由はすぐに本屋で判明した。文庫だったのである(笑)。
まあ、1000円したけどね、迷いませんでした^^。

で、このランズデール。
なんとなくジャンルはホラー寄りなのかな、とイメージしていた。”テキサスのスティーヴン・キング”だそうだ。しかし読んでみるとホラー、法廷もの?、私小説、SF、幻想とジャンルはごった煮。正直凄く合うものもあれば死ぬほど合わないものもあった。

『親心』
ホラー。息子に避けられている事を気に病んだ父親の心理を綴ったもの。仰天はしないが、意外性のあるオチ。まあ、標準。

『デス・バイ・チリ』
『ヴェイルの訪問』
チリの方は出だしは面白かった。ハップ・コリンズ&レナード・パインシリーズの番外編だそう。
これらは良さがいまいち分からなかった。ランズデールの長編をこれから選ぶ時、このシリーズは避けようと思う。

『ステッピン・アウト、一九六八年の夏』
暴力、性欲、思春期の少年達の暴走ストーリー。売春宿にお金を持って訪ねて行くあたりまでは普通だったんですが、まさかまさかのえげつない展開に。いやいや、なんでそうなるんだ^^;ひえー。
トラックに撥ねられワニに喰われ^^;そしてそして、めちゃくちゃです。目が離せない展開ですね。面白かった。

『草刈り機を持つ男』
盲人の男性は草刈りの仕事を始めたばかり。仕上がりは酷いもの。近所に住む男が盲人にヘルプを求められたが。。。
うわははは、これが一番面白かった。ちょっとした人助けが、とんでもない方向へ。いやはや、飛ばっちりもここまで行きますか。しかしこの盲人、サラッと怖いんですよね。銃とか持って追い回されるわけじゃないのにこの怖さ、絶品ですね。

『ハーレクィン・ロマンスに挟まっていたヌード・ピンナップ』
古本屋の老婆と、常連の男、その娘。古本屋でアルバイトを始めた男が見つけたピンナップが、町の大事件を発掘します。いやあ、筋だけ書くと普通っぽいんですが、ユーモラスなキャラ立ちに加えて先の読めない目眩くこの展開に夢中になってしまいました。

『審判の日』
1900年、テキサスの港街を襲ったハリケーン。実話を元にしたお話です。
死ぬほど合わなかったのはこれ^^;;
なのに100ページ以上あるものだから、拷問でした。
ボクサーのマクブライドの造形がとにかく酷い。娼婦をゴミみたいに扱うし言葉使いは下品すぎるし暴力の塊みたいな男。○イの描写も酷い。最後はいいお話みたいに終わってるんですが、赤ん坊の手首のアレはほんとに吐きそう。こういう作風を得意としているんなら自分は今後要注意だなあ。

『恐竜ボブのディズニーランドめぐり』
わずか数ページの掌編なのですが、うって変わって幻想的なユニークなお話。
おもちゃの恐竜が喋って1人でディズニーランドに行くという(笑)。しかし、オチは笑えるんだけど悲しくなりました。ボブ、一瞬で大人になっちゃったのね。。(T_T)

『案山子』
なんと、ランズデールの子供との共作だそうです。
いや~、これも大好きだなあ。
案山子が動く、っていうのは珍しい発想ではないかもしれないけれど、その描写が。。案山子のあばら骨とか一体どういう事よ?^^;得体の知れないものに襲われるってやはり恐怖ですね。オチもいいし、センスを感じるなあ。

ゴジラの十二段階矯正プログラム』
なんやねんこれ(笑)。今まで散々都市を破壊し人間を苦しめたゴジラ達が更生を目指しています(笑)

『ババ・ホ・テップ(プレスリーVSミイラ男)』
え~と、年老いたエルヴィス・プレスリーケネディが入院しておりまして、そこに怪物が出る、って感じでいいのかな^^;パロディにしても酷いなあ。プレスリーのナニにナニが^^;;;比喩が全部下ネタというか排泄物関係というか^^;;;やり過ぎてて好みではなかったかな。


以上。
う~ん、なんてバラエティに富んでいるんだ。
ホラー寄りのものと、幻想的なものがやはり好みですね。ヘンなお話がいっぱい(にこにこ^^)。
ただ、暴力ものや下品な性描写がキツい作風のものは全く受け入れられなかった。これじゃ次読む本に困るぞ。。とりあえず気に入ったので、beckさんお薦めアンソロジー「999」は読むよてい^^

                             (531P/読書所要時間5:00)