すべてが猫になる

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13の理由/Thirteen Reasons Why  (ねこ3.9匹)

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ジェイ・アッシャー著。講談社

カセットテープ七本に録音されていたのは、二週間前に自殺した女の子の声だった。少女の自殺の謎をめぐるヤングアダルト問題小説。 (紹介文引用)


やっと廻って来た。6月にbeckさんのところで記事になっていて興味を持ってすぐ予約したが、約半年待った事になる。予約数はやっと2ケタってくらいだったのに蔵書が1、2冊だったので、いかに予約数より蔵書数の方が大事かってこと^^;

さて、読みましたが、これは凄い本だと思う。
簡単に筋を追うと、舞台はアメリカ。優秀な高校生のクレイの元に、2週間前に自殺したクレアが自分の声を録音したテープと地図が届けられた。テープは7本、両面合わせて13の”自殺した理由”が語られていた。1つずつの物事に、1人の”重要な、自殺の原因となった”人物が実名で登場し、その13人全員にこのテープが送られている事、テープを聴いた後は次の罪ある人物へ転送しなくてはいけない事が告げられる。
いつ自分の番がまわってくるのか、自分は何をしたのか、緊張しながらテープで語られる”現場”を実際に追いながら、聴き続けるクレイ。。。クレアに想いを寄せていたクレイに、これは残酷な仕打ちだ。

クレアが告発する内容のほとんどは(特に前半)、こんなことで自殺するの!?というような、ティーンエイジャーなら誰しもが大なり小なり経験するような些細な悪意。中には犯罪に関するものもあり、それがなければクレアもきっと、、、と思うほどの事件ではあるが、それが13も重なれば、繊細なクレアには自殺する原因として充分なのだろう。クレアは、その時々でわかりやすいサインも出していた。ヘルプも求めていた。それを止められなかった罪、人の死に関わってしまったクレアと同じティーンエイジャー達。(13人の人々は、13どころかこの1つで充分自殺する原因になりはしないか?皆が皆、クレイのように生きられるわけじゃない)

無関心と出来心、保身、人の気持ちを慮る空想力の無さ。そのすべてがクレアを自殺に導いた。
面白い、面白くないではなく、読者全てに関係がないわけはないこの痛々しい物語の顛末が、明日の自分の姿であれば良いのに。

さて、文体ですが、クレアの声とクレイの語りをもっと分かりやすく、どちらかを太字にするなり配慮して欲しかった。。たびたびどっちの台詞かわからなくなる。仕掛けやどんでん返しがあっても良かったかな。

                             (337P/読書所要時間3:00)