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スキッピング・クリスマス/Skipping Christmas  (ねこ4匹)

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ジョン・グリシャム著。小学館文庫。

リーガルサスペンスの巨匠ジョン・グリシャムが、ハート・ウォーミングなホームコメディーに挑んだ異色作。感謝祭直前、会計士ルーサーとその妻ノーラは、海外ボランティアに行く一人娘を見送り、ふたりきりになった。これを機にルーサーは、今年はクリスマスを「スキップ」しカリブ海旅行に出かけようとノーラに提案する。だが、この決断は町中に大きな波紋を投げた。各種寄付金は?恒例のパーティは?町内一丸のクリスマス・コンテストはどうする?数々の妨害やプレッシャーをはねのけ、明日は出発というクリスマスイブの朝、大騒動が…。 (裏表紙引用)


グリシャム作品は大昔に3作程読んでいて、弁護士もののイメージが今でも強かった。そんなグリシャムが、普通小説の、しかもホームコメディーを描いたという事で久々に読んでみることに。どうもこういう可愛い表紙に弱いんだな^^

とにかくとっても温かくて、笑えて、幸せな気分に浸れる作品。
会計士のルーサーが、愛娘ブレアの旅立ちを機に「クリスマスをすっぽかす(スキッピング・クリスマス)」という壮大なる計画を立てた。クリスマス・カードも注文しない、フルーツ・ケーキもツリーも購入しない、町の恒例である屋根の上に雪だるまのフロスティを飾る、という義務さえ放棄するクランク夫妻に、町内一同が騒然!たちまち、町長や聖歌隊や隣人達や、果ては警察、消防までぐるになっての”嫌がらせ”が始まる。。。
これがもう、おかしいったらない。とにかくバカバカしい程の消費を美徳とするアメリカ・クリスマス文化にちょっとした風刺を盛り込んで、”右に倣え”のクリスマス、近所付き合いにとことん抵抗するクランク夫妻がとっても哀れ。妻のノーラが時々裏切ろうとするのがまたハラハラさせられる。
どんな邪魔が入ろうとも、意地でも旅行を決行しようとする夫妻。思わず力んで応援してしまうのだが
まさかまさかの大トラブル!!!これがまた災難に次ぐ災難で、可哀想なルーサー。ここまで町民に背を向けられてしまった彼らに、大団円はあるのか!?

ベタな展開にも思わず頬が緩む、とっても素敵な物語。不景気も何もかも忘れ去って、この幸せボケ連中の世界にいっとき身を任せてみるのも大正解。日本人から見れば考えられないような文化だけれど、だからこそ無心で楽しめるのかも。グリシャム、また集めて行こうかな^^

                             (278P/読書所要時間2:30)