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絶望ノート  (ねこ3.7匹)

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歌野晶午著。幻冬舎

いじめに遭っている中学2年の太刀川照音は、その苦しみ、両親への不満を「絶望ノート」と名づけた日記帳に書き連ねていた。そんな彼はある日、校庭で人間の頭部大の石を見つけて持ち帰り、それを自分にとっての“神”だと信じた。神の名はオイネプギプト。エスカレートするいじめに耐えきれず、彼は自らの血をもって祈りを捧げ、いじめグループ中心人物の殺人を神に依頼した。「オイネプギプト様、是永雄一郎を殺してください」?はたして是永はあっけなく死んだ。しかし、いじめはなお収まらない。照音は次々に名前を日記帳に書きつけ神に祈り、そして級友は死んでいった。不審に思った警察は両親と照音本人を取り調べるが、さらに殺人は続く?。 (あらすじ引用)


デスノート」は大好きな漫画。
殺したい相手の名前をノートに書けばその通りになる、という設定をそのまま使っている(デスノートは条件がもっと複雑だけどね^^)という前知識があったので、こちらも楽しみにしておりましたよ。
まさかの二段組だったので、休日にどっしり腰を据えて読む事にしました。ページ数も多いし、結構疲れましたね。歌野さんの文章じゃなかったら2日はかかっていたかも。

それにしても、読んでいる間これほど前半~中盤と後半で印象が変わった作品は珍しいです。
正直申し上げて、主人公である中学生の照音(ショーン)のノートの内容が不快過ぎて、もうイライラが止まりませんでした。これ、たぶん、読者の99%が同じ気持ちだったんじゃないかな^^;「U氏の○○シリーズと同レベルやん!!」と憤りまくりでしたもん^^;よくぞ挫折しなかった。。ショーンの両親(特にジョン・レノンもどきの父親!)も人間的に未熟だし、担任も事なかれ主義だし、クラスメート(イジメの首謀者グループ)もよく子供がこんな悪質で狡猾な犯罪を思いつくな、と不愉快なキャラクター勢揃い。特に、ショーンの憧れの国府田さんがショーンを詰問する章ではゆきあやの我慢も限界。「これじゃ記事にしてもねこ2匹を切るのは必至、読了だけ報告して非公開にしよう」と決意するまでに。

しかし、ゆきあやは自他共に認める歌野ファン。きっと最後に何かやってくれると期待して、読み続けました。ここで本当にねこ1匹台で終わらないのが誰かさんとの違い。やはり実力派の技巧を見せつけてくれました。ゆきあやの油断によりおおよその予想の部分しか当たりませんでしたが、どうせ読むならその方がいいです^^
       
                             (382P/読書所要時間4:30)
↓以下ネタバレ。未読の方はご注意下さい。















絶望ノートの内容が虚構だという事ぐらいしか当たらなかった^^;
豊彦がショーンの手にリスカの跡がない、と言っていたくだりで少し予想していただけですが、殺害犯人の正体までは思い至らず。興信所の男を疑ってたぐらいですから(笑^^;)。
ジョンの息子、ショーン・レノンの曲は好きなのですが、「ヘイ・ジュード」の事は全く知りませんでした。これは事実・・なんですよね?

まあとにかく、不愉快だった要素が全部嘘だったので助かりました。ショーンの人格は救いようがないけど、これ、親の責任もあると思うな。苛められる子にも原因がある、という常套句をさらに助長するような作品になったら嫌だな、とも思ったけど、まあ、そういう作品ではないということで。
ラストの皮肉さは好きですね。こういうところはプロの技だなと思う。

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