すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

理由(わけ)あって冬に出る  (ねこ3.6匹)

イメージ 1

似鳥鶏著。創元推理文庫

芸術棟に、フルートを吹く幽霊が出るらしい―吹奏楽部は来る送別演奏会のため練習を行わなくてはならないのだが、幽霊の噂に怯えた部員が練習に来なくなってしまった。幽霊を否定する必要に迫られた部長に協力を求められ、葉山君は夜の芸術棟へと足を運ぶが、予想に反して幽霊は本当に現れた!にわか高校生探偵団が解明した幽霊騒ぎの真相とは?コミカル学園ミステリ。第16回鮎川哲也賞佳作入選、期待の新鋭のデビュー作。 (裏表紙引用)


ああ、うん、まあなかなかいいんでない?←えらそう

表紙のイメージそのままに、さわやかで軽くてユーモアたっぷりのミステリ。テンポのいい主人公葉山君の語り口と、個性豊かで賑やかなメンバー、変人気取りの探偵役・伊神さんのバランスが結構いい。
欲を言えば、葉山君が平均的すぎて彼の背景が見えなかった事や、伊神さんをいかに変人に表現するか、そのラインを越えすぎて笑えない箇所があったりする。憎たらしい登場人物が一人もおらず、事件から判明した様々な真相もどこにでもいる高校生の悩みや性格から発展したいち事件という気がしなくもない。読みづらくなったのは第一のトリックが解明されてからで、構成としてはあまりこういう複数回に分けた謎解きというのは上手いとは思わない。実はラストを読むまでうっかり忘れていたプロローグや幕間があったのだけど(^^;)、それ自体もなんだかなあ。。

あ、いやいや^^;
特別ここが悪いと言うでもなく、むしろ美点の方が多かったとは思う。
ただ、新しいトリックの発明や、見た事のないキャラクター造形というのはつくづく難しいんだなあと思った。こういう系統のものは好みだし、続編も読むつもりではあります。

                             (243P/読書所要時間2:30)