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ぼくが探偵だった夏  (ねこ3.7匹)

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内田康夫著。講談社ミステリーランド

光彦・小学校五年生の夏。クラスに軽井沢からの転校生・本島衣理がやって来た。初対面の印象は最悪!それなのに隣の席だなんて、女という生き物が苦手な光彦には辛い毎日だ。でも、待ちに待った夏休み、光彦は今年も恒例の軽井沢の別荘へ…。そこで、夏の友だち・峰男くんから偶然、衣理を紹介され再会する。話をするうちに光彦は、最近、軽井沢で行方不明になった女の人がいるという話を聞き、三人で現場に行くことに。すると、怪しげな「緑の館」の庭で大きな穴を掘り、何かを埋めようとしている男の姿が!その直後から不穏な空気が光彦の周囲に漂いはじめる。埋められた物は何だったのか?平和な軽井沢でいったい何が起こっているのだろうか!?「浅見光彦シリーズ」でお馴染みの“あの人”たちも登場。 (あらすじ引用)


ゆきあや理想の男性No.1に輝く浅見光彦の少年時代を描いた物語がミステリーランドで登場!
やはり想像していた通り、ファン向けにサービス精神旺盛な内田氏が様々な遊び心を持って作られた要素がたくさん見られます。内田氏のもう一つの人気シリーズである”信濃コロンボ”竹村が堂々の登場、光彦さんと変わらぬスポットライトの当たり方をしております。なんと竹村20歳^^!どうしてもこのあたりは読者が両者を知っているという前提で描かれているので、そこを問題ないと判断し執筆した売れっ子作家の自信のほどが伺えますね。あるいは、これをきっかけに光彦シリーズに手を伸ばす新たなファン層の獲得も狙ってのことか^^

作品としては、ほどよく謎が散りばめられていていい感じ。YAである事をしっかりと自覚され、光彦とファミリー、関わる大人や友人の言葉を通しメッセージがいたるところに散りばめられています。やはりこのあたりはベテラン作家で、「内田さんはやっぱりわかっているな」と感心させられますね。
どこまでも光彦さんや竹村さんのイメージを壊さず、身内受けに留まらないストーリー作りの確かさや
人柄の良さをアピールさせられる優れたユーモアのセンス。ふたたび軽井沢が舞台となった設定の都合ですら作品イメージを高める事に繋がった好例ではないでしょうか。

                             (268P/読書所要時間1:30)