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TENGU  (ねこ2.7匹)

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柴田哲孝著。祥伝社文庫

二十六年前の捜査資料と、中央通信の道平記者は対面した。凄惨きわまりない他殺体の写真。そして、唯一の犯人の物証である体毛。当時はまだなかったDNA鑑定を行なうと意外な事実が……。一九七四年秋、群馬県の寒村を襲った連続殺人事件は、いったい何者の仕業だったのか?七〇年代の世界情勢が絡む壮大なスケールで、圧倒的評価を得て大藪春彦賞に輝いた傑作。(裏表紙引用)


またやってしまった・・・(><)
ごめんなさい、コレは全く自分の好みからは外れていました。。。
もっとヘンな、ホラー寄りの奇想天外なお話かと想像していたのですが、その作風を保ちながらもこれはどちらかと言うと「事件記録」のような小説です。作者が元ノンフィクションライターだという事で、文章がいかにもそれっぽい。まさかU○Aや9.11テロが関わって来るとは。。。主人公が記者という事で、かなり内容が渋いです。現代と二十六年前と、巧みに構成されており、専門的な記述や捜査法、警察や記者達の、男同士の柵と友情が魅力的に描かれていますね。

雰囲気はいかにも七十年代の日本という感じで、そのあたりの描写もさすがです。正体のわからない怪物の謎やその迫力、道平の人生を駆け抜けた二人の女の壮絶な人生など、やはり評判通り読ませますね。特に、盲目の彩恵子の生い立ち、生き方などは同じ女性として目をそむけたくなるほど。いかにも男性が理想とする従順で純粋で美しい女性として描かれているので、現代女性からは反感を買うかも?
このまま最初に明かされたTENGUの正体で終わってくれていれば、まだそれなりの読後感は得られたのですが、この真相については正直残念でした。ある超有名海外SF作品の真相とまるまるかぶってしまったのです。「ぱ、ぱくり!?」と動揺してしまったぐらいです。これについては、両者を読まれている読者はどのような見解を示しているのでしょうか?そこが気になるところです。

                             (373P/読書所要時間3:30)