すべてが猫になる

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ナイトホークス/The Black Echo  (ねこ3.6匹)

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マイクル・コナリー著。扶桑社ミステリー文庫。

ブラック・エコー。地下に張り巡るトンネルの暗闇の中、湿った空虚さの中にこだまする自分の息を兵士たちはこう呼んだ…。パイプの中で死体で発見された、かつての戦友メドーズ。未だヴェトナム戦争の悪夢に悩まされ、眠れぬ夜を過ごす刑事ボッシュにとっては、20年前の悪夢が蘇る。事故死の処理に割り切れなさを感じ捜査を強行したボッシュ。だが、意外にもFBIが介入。メドーズは、未解決の銀行強盗事件の有力容疑者だった。孤独でタフな刑事の孤立無援の捜査と、哀しく意外な真相をクールに描く長編ハードボイルド。 (上巻裏表紙引用)


な、長かった・・・(;^^A。。予定よりも苦戦しました。
「このミス常連作家」ということで、ジュン○堂でもマイクル・コナリー祭りが開催されており、いかに人気の高い作家かが伺えます。「ハードボイルド」というジャンル分けに少し不安を感じておりましたが、半分的中といったところでしょうか。ジェフリー・ディーヴァーのような、科学捜査メイン、キャラクターにスター性、アイドル性のある性質のものではなく、こちらは純粋な一匹狼の刑事を描いた警察小説です。ベトナム戦争のトラウマから逃れられず、悪夢に悩まされるボッシュ刑事。警察内では目の上のたんこぶのような扱いをされており、周囲に反感を買うような行動、言動ばかりしています。だからと言って”熱い”タイプの熱血野郎でもない印象なのですが。生い立ちにも不幸の影があり、憂いを秘めたヒーローという感じでしょうか。

事件そのものは、特別目新しい感じでもなく、目をみはる展開があるわけではありません。全体的に地味なので、中盤かなり退屈を感じました。これはやはりまだ一作目で筆がノレていないせいなのか?
(いや、充分レベルは高い作品なのですが、作家の評判のとてつもない高さとは釣り合ってない気がするだけ)。
ラストでかなり意外性のある哀しい展開が用意されておりますが、その出来事そのものが、どうやらボッシュの過去に関連したところもあるようで。。「ドールメイカー事件」というのがやたら作中で出て来ますが、この事件がかなりボッシュ刑事の警察人生に重要なもののようなんですね。そのあたりぼかされていた気がするので、一番いいシーンがまだ理解しきれなかったのは残念。

このシリーズ、傑作が他にあるようですし、順番にボッシュ刑事に共感しながら読んで行った方が深みが出るようですね。この一作だけではなんとも評価しづらいです。次の「ブラック・アイス」飛ばそうかなあ。。「ドールメイカー事件」を扱った三作目早く読みたいし。かと言って、三作目から読むのはあまり正しくないらしい。
ま、このシリーズはぼちぼちでいいかな^^
あ、あと、なんとなく、邦題は原題のままの方が良かった気がする。。。
                 
                             (643P/読書所要時間7:30)