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ウィッチフォード毒殺事件/The Wychford Poisoning Case  (ねこ3.7匹)

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アントニイ・バークリー著。晶文社

ロンドン近郊の町ウィッチフォードで発生した毒殺事件に興味をもったシェリンガムは、早速現地へ乗り込んだ。事件はフランス出身のベントリー夫人が、実業家の夫を砒素で毒殺した容疑で告発されたもので、状況証拠は圧倒的、有罪は間違いないとのことだったが、これに疑問を感じたシェリンガムは、友人アレック、お転婆娘のシーラと共にアマチュア探偵団を結成して捜査に着手する。物的証拠よりも心理的なものに重きを置いた「心理的探偵小説」を目指すことを宣言した、巨匠バークリーの記念すべき第2作。 (あらすじ引用)


バークリー借りすぎた^^;
国書刊行会だけじゃなく、晶文社からも結構出てますねー。こちらはロジャー・シェリンガムシリーズの第2弾です。あらすじだけざっと読むと、「毒入りチョコレート事件」とかぶっているように見えましたが、内容は全然違いますね。世界一おしゃべりな探偵・シェリンガムが、友人のアレックとシーラと共に、物的証拠側ではなく心理的証拠から事件を捜査して行きます。

まあいつものごとく面白く読めたのですが。
本作のみならず、少しだけもやっとしていたシェリンガムものの特徴について、解説でわかりやす~く説明されていたので、それに対するアンサーという形で感想を。いや、今だから正直に白状するけれど、バークリーの名声というのはいわゆる解説や解釈の助けがあったからこそ評価されていた面もあったんじゃないかなと。普通に予備知識や読後のフォローなく読んだら、心理的探偵を銘打ちながら最終的には物的証拠に頼りまくっているし、しかも間違ってるし(笑)、そもそもベントリー夫人が無実ではないか?という問題提起もただのシェリンガムのカンだし、ほんとにふざけてるのか?と思って終わりという感じなのですよね。

が。本気でふざけている事がわかりました^^;
とか言いながらね、今回かなりいいセン行ってたんですけども。人に口を割らせるのが上手いしね。ま、色仕掛けとかせこい手使ってますが(笑)。しまいにはウィッチフォードの歌とか作って荒れてるし(笑)。犯人当てだけが本格推理の醍醐味ではないのだけど、バークリーもシェリンガムも、どこまで本気でアンチ・ホームズを狙っているのか疑問だし、それも含めて、結構真面目に愛を持ってこのスタイルを貫いているのではないかと。基本形があってこそ生まれたものだもの。

                             (317P/読書所要時間3:00)