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治療島/Die Therapie  (ねこ3.7匹)

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セバスチャン・フィツェック著。柏書房

目撃者も、手がかりも、そして死体もない。著名な精神科医ヴィクトルの愛娘ヨゼフィーネ(ヨーズィ)が、目の前から姿を消した。死に物狂いで捜索するヴィクトル、しかし娘の行方はようとして知れなかった。4年後、小さな島の別荘に引きこもっていた彼のもとへ、アンナと名乗る謎の女性が訪ねてくる。自らを統合失調症だと言い、治療を求めて妄想を語り始めるアンナ。それは、娘によく似た少女が、親の前から姿を隠す物語だった。話の誘惑に抗し難く、吹き荒れる嵐の中で奇妙な“治療”を開始するヴィクトル、すると失踪の思いもよらぬ真実が…2006年ドイツで発売なるや、たちまち大ベストセラーとなった、スピード感あふれるネオ・サイコスリラー登場。 (あらすじ引用)


なんとな~く、図書館でパラパラ見て面白そうだったので借りてみました。ドイツの小説って読んだ事あったかな。なかったかな。いや、ポケミスであったかな。「ドイツの驚異的ベストセラー!映画化決定!」という帯がそそらせてくれます。

文章はかーなーりー読みやすい。「スピート感あふれる」という売りもまさにその通りで、読む手が止まらなかったのも嘘じゃない。失意のヴィクトルがパルクム島に滞在し、謎の自称統合失調症患者・アンナが訪ねて来るその章が圧倒的に多く、このあたりはホラーと言ってもいいくらい独特のぞっとする雰囲気。ヨーズィが生きているのかという根本的な謎と、アンナの正体が霧に包まれている感じが、時系列通りに明らかになって行く。合間に挟まれる”現在”は、ヴィクトルがなぜか病院?で拘束されていて、、というさらに深まる謎。
大きな謎はいつまでも判明しないまま、気が付けば恐ろしい真相が目の前に立ちはだかっている。

が。それが実は。。。


うぉぉ、微妙^^;

確かに意外性はきついし、単なるサイコスリラーの枠を越えて、サスペンスとして秀逸な仕掛けが施されている事に驚愕したりもする。5年くらい前に読んでいればもっと大騒ぎしたかもしれないのだけど。。確かに手が混んでいるのに蓋を開ければ実はシンプルで、別段この結末に怒り出すほどのものでもない。面白かったのは間違いないから、とりあえず3.7で。
でも、なんというか、後に何も残らなかったんだよな~^^;

参考までに。書評探したら、意外に読んでいる人はたくさんいました。低評価の人はあまりいなかったけど、大絶賛記事もそんなになかったような。本を読み慣れてる人なら、やっぱこんなもんじゃない?

                             (359P/読書所要時間3:00)