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魔女  (ねこ3.4匹)

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樋口有介著。文春文庫。

母と姉、恋人の尻に敷かれモラトリアムな毎日を送る就職浪人中の広也は、ある日、二年前に別れた元恋人・千秋の死を知る。彼女は、生きたまま焼かれた。まるで中世の魔女狩りのように。事件の謎を探るうちに広也は千秋の思いがけない素顔を知ることになり…。せつなさと殺伐、樋口ミステリーの真骨頂。 (裏表紙引用)


あいやー・・・・・・
こんなラストですか・・・

樋口さんの作品は、主人公達が巻き込まれる事件がどれだけ哀しくてやりきれなくても、周りの景色や関係のないエキストラの人々がのどかで平和で、そこが好みの一つでありました。もちろんこの作品も例外でなく、社会逃避した大人や長期休暇の子供のような気持ちで穏やかに読める作品です。

本作は、アフリカに居る父、芸術家の母、ニュースキャスターの姉を持ち、ある程度の小金持ちの家に生まれた”就職浪人”広也が主人公となっております。いわゆる恵まれた、悩みたがりの青年。それが意外とイライラしないのは、異性だからか自分が若者に甘いからか^^;姉に決められた設定ほどには女性に依存していないのも原因でしょうか。年上にも年下にももてて、よろしござんすねえ。
しかし、女性キャラは微妙。「興味ツツ」だの「死人に無茶ウツ」だの、ここまで女性=頭が弱い、ということを美点のつもりで描かなくてもいいと思う。ヒロイン?である千秋にしても、人格に問題があるように見せて実は・・なのか、医学的な問題なのか、そこを曖昧にされても。。
なんとなく、ドラマ性が中途半端なのにミステリの仕掛けがそこそこ出来ているものだから。

実は最後の10ページくらいまでは3.7くらいの気持ちで読んでいただけに、この空気が抜けたようなラストが残念でなりませぬ。

                             (361P/読書所要時間3:30)