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目撃者を捜せ!/Save the Witness  (ねこ4.4匹)

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パット・マガー著。創元推理文庫

ニューヨークを発ち、一路リオへ―。船旅は快適なものとなるかに見えたが、出帆して2日めの夜、乗客の一人が殺されるという事件が突発した。状況からして存在するはずの目撃者が証言すれば結着はつくのだが、名乗りでる者は1人もいない。かくして閉ざされた船上、密かに目撃者捜しが展開することになったが…。才媛の秀作、待望の初紹介。 (裏表紙引用)


おおお~!!(ノ><)ノ おおおお~~~ぅ!!(ノ><)ノ
こ・これはまたなんと面白い・・・!!
名作「七人のおば」を凌駕するほどの本格味です!面白い順に読んでしまっているのかと思っていたらとんでもない。この一見面白くなさそうなタイトルのコレが一番面白いとは・・!!なぜ”古典名作”に名を連ねなかった?謎です。

パット・マガーの十八番である、人間同士の軋轢、ドラマ、その悲喜こもごもに完全にスイッチが入っていて留まるところ敵なしです^^;特に女性陣。自分の裏の感情、真の自分をさらけ出して感情的に言葉が迸る彼女達の姿には圧倒されますね。それが主人公との駆け引きで操作されているわけですから、読んでいる方はハラハラして成り行きを見守るしかありません。そういう読ませる面白さも備えつつ、本格ミステリとして秀逸な作品だとも言えます。あまりネタは割れませんが、とにかくミスリードがうまい!これに尽きます。目撃者がいつまでも現われなかった理由、落ちていた煙草の謎、登場人物達それぞれの隠し事に確固たる論理的な理由と心情的に理解出来る背景があって、納得の出来。さらにさらに評価を高めたのは、終章のどんでん返しに次ぐどんでん返しの妙。今まで多種多様などんでん返しものを読んで来ましたが、こういうのを読むとこれが本当のどんでん返しと言うものなんじゃないか、、とさえ思えますね。

欠点はあると言えばあります。これは個人的な好みなので一概には言えませんが、主人公が記者という立場を「利用」(と言わせてもらう)して、次々と乗客達のプライバシーを暴き立てて行くところ。しかもその態度は強気かつ自己正当化の感が強く、女性の外見で目的や気持ちを変えてしまう性格も探偵役としては好感度が高いとはとても言えません。ここまでほとんどの登場人物に嫌われてしまうメインキャラクターというのも珍しいのではないでしょうか。
あと、ラストも評価が割れるところでしょう。個人的には否、と言いたいところですが今回は例外とします。

残りは2冊か。。「被害者を捜せ!」と「四人の女」。これらも期待出来ますね。皆さんもぜひパット・マガーを一冊^^

                             (270P/読書所要時間3:00)