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ジャンピング・ジェニイ/Jumping Jenny  (ねこ4.4匹)

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アントニイ・バークリー著。国書刊行会。『世界探偵小説全集 31』

小説家ロナルド・ストラットンの屋敷で開かれた“殺人者と犠牲者”パーティの席上、ヒステリックな言動で周囲の顰蹙をかっていた女性が、余興として建てられた絞首台の上で首吊り死体となって発見された。すべての状況は一時的衝動による自殺を示していたが、ある致命的な事実に目をとめたロジャー・シェリンガムはひそかに調査を開始した…。 (あらすじ引用)


うほ~~~~(ノ><)ノうほほ~~~~~~~~~~(ノ><)ノ
おんもしろかった~~~~~~~~~(><)

『毒入りチョコレート事件』を読んでから、次は絶対コレにしようと決めておりました。首を吊った藁人形という不気味な表紙と、お洒落っぽいタイトルに惹かれて。『毒入り~』に比べて、かなり読みやすかったです。
既存の探偵小説のスタイルに不満があり、各作品で変わった趣向を凝らしているというバークリーですが、本作も倒叙の形をとっておりさらに人間ドラマを追求した独特の仕上がりとなっております。ロジャー・シェリンガムが主人公として堂々と出ばっているので、シリーズとしては『毒入り~』と同じもののようですね。『毒入り~』では1/6くらいしか目立っていなかったシェリンガムですが、今回は犯人と断定されたり証拠を隠滅したりと燦々たるありさま^^;

ミステリ的なお話はひとまず置いておいて、ストーリーの面白さについて先にご紹介をば。
招待客が有名犯罪者の扮装をして集まるパーティ。主人役のロナルドの意向で柱に藁人形3体(手づくり^^;)を吊るすという趣味の悪い飾り付けがなんともいかがわしいです。タイトルからして誰かこの中の”女性”が人形の変わりに吊るされるんだな、と言う予感がひしひしと漂います。これが決まりきったパターンにならないのは、事件が起こったその経緯のあまりのショッキングさによるもの。
それ以前に、死んだ女性の造詣がなんとも酷く、それがこの物語の一番メインとも言うべき面白さなんです。その女性に迫られて嫌悪感を覚えていたシェリンガムが、後では自分が迫った事になって皆に伝わってたり^^;とにかく凄いトラブルメーカーの女性として描かれているわけですよ。一番びっくりしたのは、女性が抱き抱えられて外に放り出されるという^^;;;めちゃくちゃすぎる。。。
前半だけでこれだけ面白く惹き付けられるわけですから、期待も高まろうというもの。

警察を呼ぶ段になって、ほぼ全員が殺人者の仮装をしていることに皆が慌てるシーンの面白さと言ったら^^;;このように、なんとなくブラックにコミカルに描かれているわけですね。

さて、ここから先は読んでみて下さい。
検死尋問のパニックぶりや、その結末の独特たる発想含め、一風変わった探偵小説です。アガサ・クリスティなどの英国風ミステリがお好きな方は是非一読を。

いや~、バークリー気に入っちゃったなあ~^^次は2冊くらい借りて来よう^^別名義のフランシス・アイルズも絶対チェックですね。

                             (319P/読書所要時間3:00)