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サキ短編集/A Collection of Short Stories  (ねこ3.7匹)

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サキ著。新潮文庫

ビルマで生れ、幼時に母と死別して故国イギリスの厳格な伯母の手で育てられたサキ。豊かな海外旅行の経験をもとにして、ユーモアとウィットの糖衣の下に、人の心を凍らせるような諷刺を隠した彼の作品は、ブラックユーモアと呼ぶにふさわしい後味を残して、読者の心に焼きつく。『開いた窓』や『おせっかい』など、日本のSFやホラー作品にも多大な影響をあたえた代表的短編21編。(裏表紙引用)


ずっと気になっていた作家さん。何年か前に、どこかで一作短編を読んだ事があって、それが結構良かったんですよねー。タイトルを忘れていたのですが、ちゃんとこの中に入ってました^^ホラー作家だと思っていたのですが、読んでみるとジャンルが幅広いです。”風刺作家”の異名をとっているサキですが、たしかにどの作品もなかなかに底意地が悪く、それでいてお洒落です。自分には少し格好良過ぎたかもしれない(笑)。

さすがに21編すべての感想は挙げられませんが、気に入ったものだけをちょっとご紹介。

『二十日鼠』
ホラーと言っても良い題材に、ミステリ的に皮肉なサプライズが印象的な作品。服の中に入り込む鼠というのも不気味ですが、追い払うために服を脱ぎたい、でも女性の前ではそうもいかない、、というちょっとした心理もの。このオチ、最初にやったのこの作家さんだったんだー。

『平和的玩具』
子供の情操教育?を扱ったもの。ためになると思って良かれと与えた”優秀で役に立つおもちゃ”。大人と子供の越えられない境界線といいましょうか。深いなあ。こういうのって早きゃいいってもんじゃないと思うけど。

『話上手』
子供に話して聞かせたいお話と、子供がほんとに面白がるお話のギャップが面白い。子供って残酷です。。でも、自分も好きだったのはそういう系統だったもんね。

『開いた窓』
読みたかったのはコレです^^ていうか、一回読んでるけど。
旅人がある家の女性にからかわれるお話で、当時こういうホラーのやり方もあるのか、と着目いたしましたね。

『宵闇』
手持ちのお金をすっかりなくしてしまった男性。彼の言葉を証明するものは、一つの石鹸だった。。
このオチ、予想してたんですが笑ってしまいますね。

『十三人目』
これは戯曲です。登場人物は三人。
二人合わせて十三人の子供を抱えるのは不都合だと、結婚を考える男女があれこれ模索するお話。
わはははは、なんやねんこれ^^;;;滑稽なだけじゃなく、あまりにもブラック。

『おせっかい』
これは名作中の名作なのではないですか?
森の中で死と向かい合った二人の男達の、あまりにも劇的なドラマ。仲が悪かった二人が死を目前にして心を入れ替えたその時、何が起こったと思いますか?^^


こんなもんかな^^あと、『ビザンチン風オムレツ』(髪を結ってもらってる最中に使用人がストライキ!^^)とか『七つのクリーム壺』(窃盗癖のある客が来た日、七つあった壺が八つに増えた^^)
とか、まだまだ良かった作品はございますが^^

しかし、「サキ」というペンネームだと他の著作とか検索しにくい^^;ていうか不可能^^;
よく比較されるというO・ヘンリとかスタインベックとかも読んでみたいなあ^^

                             (219P/読書所要時間2:30)