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十三回忌  (ねこ3.7匹)

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小島正樹著。原書房ミステリーリーグ。

ある素封家一族の、当主の妻が不審死を遂げたが、警察はこれを自殺として捜査を打ち切ってしまう。それが始まりだった。当主の妻の一周忌には「円錐形のモニュメントに真上から突き刺さった少女」、三回忌には「木に括りつけられさらに首を切られた少女」、七回忌には「唇だけ切り取られた少女」…と忌まわしい殺人が続いていく。そして十三回忌を迎える。厳戒態勢のなか、やはり事件は起こった。 (あらすじ引用)


うほー。
島田荘司氏推薦、作者の小島氏は以前島田氏との共著「天に還る舟」を上梓されていたという曲者。今回の作品がデビュー長編ということで。評判もなかなかなので、期待していた作品でもあります。推薦者が気になりますが^^;、まあ当たる時は当たるのでまあいいでしょう。

まあ、とにかくラストのラストを読むまでは、この作品けちょんけちょんのぼろくそに書いてやろうと思ってました(笑)。文章は読みやすくなったり堅苦しくなったり、キャラクターは刑事ものなのか探偵ものなのか中途半端、捜査も杜撰、ダイイングメッセージはアイデア先行でリアリティなし、4番目の被害者の死ぬ前の行動に無理がありすぎ、斧でそこまでして「一発で」首を斬る事に固執した理由が不明確、洞窟では何万匹のゴ○ブリが出て来て気持ち悪い、本当にいいとこなしでした。
ネタそのものはとても良いのと、後半のめくるめく推理のディスカッションが楽しめるのでそれなりに読めるのです。自分が良いと思ったのは1番目の被害者をどうやって串刺しにしたか?のトリック。いかにも島田さん風で盛り上がりますね。ギリギリの最後まで読む手を休ませない探偵小説ならではのスリルは維持していたので、まあ平均点かな。

ラストの仕掛けにはまんまと騙されました。ずっと気になってたので、スッキリ。ここまでやってくれるとは思ってませんでした。脱帽。課題があるなら、絶対に探偵のキャラクターだと思います。これでは刀城言耶ですらスーパースターに見える。一度退場してから、また会いたいな、早く出て来ないかな、と思えるぐらいの輝きは欲しい。言っておくけど、島田潔なんて例外中の例外だからね。