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あきらめのよい相談者  (ねこ3.7匹)

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剣持鷹士著。創元推理文庫

開業を夢見る若き弁護士の僕は法律事務所に勤めている。人の数だけドラマがある、ましてや弁護士に持ち込むのだから、というわけでもなかろうが、ともすれば理解に苦しむ依頼にぶつかる。こういう場合に重宝なのが友人のコーキで、彼の端倪すべからざる推理力には高校時代から舌を巻くばかり。あきらめがいいんだか悪いんだか判然としない客のことも、飲みながら話すうちに…!第一回創元推理短編賞受賞。 (裏表紙引用)


100円だったのでつい買ってしまったのですが、いやはや意外に面白かったです。ペリイ・メイスンシリーズみたいなこのタイトルにも惹かれましたし。内容はそのまま弁護士ものですが、ペリイ・メイスンみたいな裁判中心のタイプではなく、探偵役が別に存在し、その彼が主人公の話を聞いて推理して行く安楽椅子探偵ものですね。

『あきらめのよい相談者』
つまらない事件を持ち込む依頼者をいかにして断ろうかと内心四苦八苦する剣持弁護士。しかし意外にも依頼人はあっさりと引き下がって行った。。ここから先の展開で、ある程度の予想はつくかもしれません。が、弁護士の地道な苦労やありがちな依頼などなど、弁護士の裏事情が垣間見えて面白かったですね。

『規則正しいエレベーター』
友人・コーキの住むマンションのエレベーターは、なぜか2階で止まっている確率が高いという。意外と女好きのコーキのために、剣持弁護士と友人・広瀬はその謎に取り組んで行く。
数学が大嫌いなおいらなので、確率についての云々はしんどかったですね^^;しかし、おいらも11階に住んでいるので出る時に10、11、12階でエレベーターが止まっていると嬉しいし上がる時に1階に止まっているとラッキ~♪と小躍りします。せっかちな大阪府民(;^^A。。
ちょっとややこしい推理ものでしたが、くだらないと言えばくだらない事件かも。

『詳し過ぎる陳述書』
夫が宗教にはまっている事を理由に離婚を申し立てる女。だが、夫側の弁護士が提出した陳述書がやたら詳細で。。
唯一、裁判で争うシーンが目玉となっております。剣持が相手方を追い詰めて行く反対尋問がいいですね。もう少しペリイみたいにぶっ飛んだ方が面白くなったんじゃないかな。

『あきらめの悪い相談者』
先輩の紹介でやって来た依頼者は、毎回その内容を変え剣持に食い下がって行く。素人のにわか勉強に対抗できるのか。
ははは、これは一番良かったですね。依頼者が殺したのは誰か、という手法を使ってますし、依頼の内容そのものが面白いです。人間らしく、普段波風を立てない剣持がキレて行く過程が楽しめます^^;


いやはや、なかなか好みの内容でした。正統派の優等生という感じで。この方、「五十円玉二十枚の謎」で最優秀賞を獲った方なのですね。ペンネーム変わってるけど。これ一冊しか出てないみたいなので、ちょっともったいないなあ。