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湖底のまつり  (ねこ3.7匹)

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泡坂妻夫著。創元推理文庫

傷ついた心を癒す旅に出た香島紀子は、山間の村で急に増水した川に流されてしまう。ロープを投げ、救いあげてくれた植田晃二という青年とその夜結ばれるが、翌朝晃二の姿は消えていた。村祭で賑わう神社で、紀子は晃二がひと月前に殺されたと知らされる。では昨日、晃二と名乗っていた人物はだれか?読む者に強烈な眩暈感を与えずにはおかない泡坂妻夫の華麗な騙し絵の世界。(裏表紙引用)


先日急逝してしまった巨匠・泡坂妻夫さん。ご冥福をお祈りいたします。

そのニュースが耳に届く前に、面白いと評判だった本書を入手しておりました。すぐ読むつもりだったのですが、厳粛な気持ちになってしまいしばらく眺めるだけの日々が続き、先日ようやく着手。1ページずつ噛み締めながら、泡坂さんの残した功績を辿ってみるつもりで読了いたしました。「乱れからくり」「11枚のとらんぷ」「亜愛一郎~」しか読んでいないのでファンだったなんてずうずうしいことは言えませんが、一冊一冊が本当に面白かったんだわあ。。。古典の領域なのに、まったく時代を感じさせない読みやすい文章とめくるめくトリックはどんな現代ミステリ作家もお呼びでない、という印象ですよね。

では、いつもの感じで感想を。

これは一言でしか言い表わせないです。

なんだこりゃ~~~~~~~~~~~~!!!です^^;

マジック世界を描いていた前作とはガラッと設定が変わり、今作は至ってシンプル。普通の女性が傷心旅行に出て恋をして事件に遭遇して、という敢えて持ち上げるまでもない設定なのですが、これがまた読めば読む程に読者を迷路に連れて行ってくれるのですよね。まさに袋小路。第二章でこう来るなら一体他にどういう真相、トリックが考えられるのか?混乱し続けます。視点が変わり続け、フェアプレーを維持しつつ、まままままさかこんな驚愕の真相が用意されていたとわ^^;;;唖然呆然通り越して
もうこりゃ発想がどうかしていますよ^^;誰がこんなトリック推理できます?できたとしても、それを本当に作品化してしまい成功しているのが凄い。。こんな仰天ものなのに荒技、という感じがしないというのがレベルの高さを感じさせます。

いやあ、もう最後がインパクトありすぎてノックアウトですわ^^;
泡坂さん、空の上でニヤリと笑ってくれてるのかなあ。