すべてが猫になる

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the TEAM  (ねこ3.7匹)

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井上夢人著。集英社文庫

黒いサングラスをかけた派手な衣装のおばさん。この人こそ、今をときめく、霊導師・能城あや子。テレビ番組の人気コーナーを持ち、個別の相談は30分8万円にもかかわらず、5ヶ月待ちという盛況ぶり。悩みをぴたっと言い当て、さらに奥深くにある真実を探り当てる。恐るべし霊視の力……ではなく、実は彼女のバックには、最強、最高の調査チームがついていたのだ。弱気を救い、悪を討つ!爽快・痛快連作短編集。(裏表紙引用)


楽しみにしてたよ文庫化!・・な、井上さんのユーモアミステリ(?)、ようやく読了。
意識がうつろ状態で読んでしまったのですが、おんもしろかった!こういう設定、本来自分は苦手なんですよね。だってどんなにいいお話だろうと詐欺は詐欺だもん^^;←また例の病気が
自分はどうしても最終的には未来に向けてのお話が好きなもので、一生やってはいられない事でしょう、こういう仕事?は。しかし、能城さんはじめ他のメンバー同士の関係がクールに描かれているし、
彼らの性格は表に打ち出されていてもその内面は掘り下げられていないので、それが生きていると思いましたね。逆に、相談者たちの暗く重たい事情がドラマティックなんです。ミステリ的な面白さも水準並みですし、複雑な人生の重みやそこからの救済がリアルで良かったです。
さらに、チーム全体の危機や存在意義にまで追求して来る展開が待ち受けていたのも連作らしいテクニックです。最終話はちょっとびっくりしましたが、脇役が主人公に成り代わり、こういう終わらせ方をするというのは意外でした。視点を変えて見えて来るものといいますか。

ちょっと「あれよあれよ」だったのが残念ですが、これは続編が期待できますかね^^