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狐罠  (ねこ3.6匹)

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北森鴻著。講談社文庫。

店舗を持たず、自分の鑑定眼だけを頼りに骨董を商う「旗師」宇佐見陶子。彼女が同業の橘薫堂から仕入れた唐草切子紺碧碗は、贋作だった。プロを騙す「目利き殺し」に陶子も意趣返しの罠を仕掛けようとするが、橘薫堂の外商・田倉俊子が殺されて、殺人事件に巻き込まれてしまう。古美術ミステリーの傑作長編。(裏表紙引用)


むむむ、こりゃまた一風変わったミステリーですな。
殺人事件よりも骨董の世界についての講釈が半分以上内容を占めていて、ちょっと引きますがなかなか面白く描かれているのではないでしょうか。骨董には全く興味がない自分でもわかりやすく読めましたし、競りの駆け引きや贋作の騙され方などなど、これだけで物語として完成しそう。
登場人物もなかなかに濃いです。
主人公の陶子は一見無感動ですました感じのいけすかない女性なのですが、惹かれた男性とあっさり寝たり病気になって倒れたりはたまた闘いの末殴られたり^^;、かなり生命力を強く感じるキャラクターでした。カメラマンである友人の硝子もきっぷのいい女性でちょっとガラは悪いですがいいスパイスになっております。
男性キャラも魅力的ですね。たいてい悪役なのですが骨董の世界に取り憑かれある領域にまで達した人間としていかがわしさがぷんぷん。プロフェッサーDとかなんかかっこいいぞ。

読んでいるとミステリである事を何度も忘れそうになりますが、その点も悪くはないです。陶子の推理が展開されるくだりは多少の唐突感はあるものの、それなりの意外性はありますしこの設定ならではの真相。


さて、どうでしょうね。おいらは正直北森さんで今まで外しまくっているので^^;、これは結構いいと思ったほうかも。相性がいいとは思えないのは残念ですが、このシリーズじゃなくて^^;他のもまだまだ挑戦してもいいかな、と思えております。