すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

西の魔女が死んだ  (ねこ3.9匹)

イメージ 1

梨木香歩著。新潮文庫

中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも……。その後のまいの物語「渡りの一日」併録。(裏表紙引用)


ずっと気になっていた本です。積読も片付いたので早速買ってみました。薄いのですぐ読めますねえ。安いし、ははは。
本のポップでは「泣ける、感動」とやたら連呼されているので癒しを求めていたのかもしれません。恋愛ものでさえなければおいらは結構単純なのだ。

さてさて、内容のほうはと言うと、結論を言えば大変よろしかったです。もちろん泣けました(;;)
自給自足の生活というのか、庭で取れた野いちごをジャムにしたり、飼っているニワトリが生んだ卵を朝食にしたり、足踏みでシーツを洗ったり、ラベンダー畑にそのシーツを干して匂いをつけたり。。
たのしそう~~~。排気ガスとビルの中で暮らしている自分にはこれぞ究極の憧れですね。
魔女修行というテーマを借りて、幼い少女が人生を学び人格を形成して行こうとする物語です。半分騙されている予感がありながらも、素直に様々な事を吸収していくまいの姿は立派ですね。時には反発もしたりして。幸せに暮らす中、まいの胸中に芽生えた”迷い”がこのお話の肝だと感じました。ここにいてはいけないはずはないけれど、どこかでこれではいけない自分というものを自覚しつつあるのでしょうか。

一つ気になったのは、近所に住むゲンジさんについてです。最後まで自分には彼の印象が最初と変わらなかったのですが。それなりのエピソードは残して行きましたが、「実はめちゃくちゃいい人」というベタな作りではなかったという事でしょうか。奥深さを感じますね。
読んで良かったと思える感動作でしたが、自分のフィールドではないよそ者感も同時に感じてしまいました。普段読んでいる本がどれだけ害を放っているか^^;と共に、最近主人公が若すぎるものを読むのが辛くも感じ。